2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代電顕技術による細胞骨格とその制御タンパク質の空間特異性の研究
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22370056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
臼倉 治郎 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (30143415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 元 名古屋大学, 医学研究科, 講師 (80236017)
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Keywords | 電子顕微鏡 / アクチン線維 / 細胞骨格 / 核膜 / 細胞周期 / 中間径線維 / ネスプリン / 空間構造 |
Research Abstract |
細胞周期にともないアクチン細胞骨格の空間構造が如何に再編成されるかを明らかにすることが本研究の目的である。そのために細胞を同調培養し、各ステージおけるアクチン線維の空間構造を明らかにする予定であるが、その前に核膜とアクチン線維がいかに関わっているか明らかにしなければならない。平成23年度はこの部分において大きな進展があった。先ず、予想を遙かに上回る数のアクチン線維が核膜から伸びている。これらのアクチン線維は核膜近傍においてほとんどが中間径線維と密接に結合している。この中間径線維はNRK培養細胞の場合ビメンチンであった。核膜の周囲は多数の中間径線維により覆われているが、その走向は極めて特徴的なうねりをともなっている。細胞質内及び辺縁で認められる中間径線維とは走向の様子が著しく異なるため、何らかのタンパク質が付着している可能性が高い。また、中間径線維は核膜孔形成タンパク質と相互作用をするらしく、多くの場合、核膜孔からロゼット様に伸び出してくる。集合離散が活発で線維束の太さは著しく変化する。すなわち、核膜は中間径線維の網目で二重三重に覆われていることになる。そのため、アクチン線維の基部は完全に中間径線維に覆われてしまうため、核膜のどのあたりから伸び出すのか不明である。しかし、中間径線維がある程度剥がれたところを探し、注意深く観察すると、アクチン線維は核膜孔近傍から派生し、核膜上を中間径線維とともに走向し、適当なところから細胞質中に伸び出すものと思われる。しかし如何にしてストレス線維を形成するかは不明である。アクチン線維の起始部を提供すると言われているネスプリンも核膜孔近傍に優先的に認められた。そのため、アクチン線維もネスプリンを介して核膜孔タンパク質と繋がっていると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究の進捗状況はおおむね良好であり、核の静止期において幾つかの新しい知見が得られている。特にアクチン線維や中間径線維(ビメンチン)が核膜孔近傍から伸びていること、またネスプリンも同様にその周辺に局在することが解明されたことは生命現象の根幹である細胞周期を解明する上で重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
核膜とアクチン線維との関係は生命現象の根幹に関わるので、さらに詳しく調べる。特に、詳細なネスプリンの空間分布、及びアクチン線維が実際にネスプリンと結合するかを確かめる。タンパク質を同定するには免疫化学に頼らざるを得ないため、軽く固定しなければならない.生きている状態での構造解析にはクライオミクロトーム、クライオ電顕など億単位の費用がかかり、難しいが、次年度は現有の設備でできることを行う予定である。クライオミクロトームの代わりに膜剥離法をもちいるなどして、無固定で生きている状態で核周辺のアクチン線維の空間構造を明らかにする予定である。
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Research Products
(6 results)