2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子モーターのシミュレーション研究:運動から化学反応制御への構造機能解析
Project/Area Number |
22370057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 彰二 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60304086)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | キネシン / APT加水分解 / 分子動力学 / 粗視化モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、原子レベルおよび粗視化レベルの分子シミュレーションを駆使して、キネシンを中心とした分子モーターにおける、「運動→構造変化→反応」の制御機構を、構造に立脚したメカニズムとして明らかにすることである。平成24年度の研究課題として、1)K(ATP)とK(ADP)のATP 加水分解能の比較、2)双頭間の張力依存的な構造変化、および3)ネシン歩行運動に関する数理モデルの構築と解析を行った。1)では、K(ADP)の構造中にATPをおいて加水分解反応を計算したところ、昨年度行ったK(ATP)の場合と比べて反応の自由エネルギー障壁が高くなり、加水分解にとって不利な構造であることが明らかになった。K(ADP)では、ATPの周りにたくさんの水分子が存在し、それがバルク相の水のように振舞うため、加水分解反応には不利だと解釈される。2)では、経路上と考えられている、双頭がチューブリンに結合した状態において、双頭間の張力に起因する、進行方向の前の頭部Lのヌクレオチド結合部位周辺の構造変化と、後ろの頭部TのATP加水分解に係ると言われているスイッチIとIIの間の塩橋に変化の兆しが見られた。3)各頭部を4状態で表現した数理モデルを構築し、マスター方程式の解析によって、双頭間のどのようなコミュニケーションがあれば、a) 前方への一方向的な歩行運動が実現され、b) その速度が十分に大きくなり、かつc) ATPからのエネルギー変換効率が高くできるのか、について一定の知見が得られた。上記3点の機能的な要請から導かれた双頭間のコミュニケーションは、これまで構造生物学的なデータから示唆されてきたものと定性的によく一致した。従って、キネシン分子のもつ構造生物学的特徴のいくつかは、機能的制約のもとに進化してきた結果得られるべき必然のものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)