2011 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームの異常と疾患:新たな疾患「リボソーム病」発症の分子機構
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22370065
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
剣持 直哉 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (00133124)
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Keywords | リボソーム / リボソーム病 / p53 / 造血異常 / 発がん / 核小体 / ゼブラフィッシュ / 疾患モデル |
Research Abstract |
リボソームは、すべての生物に不可欠なタンパク質の合成装置である。本研究は、ゼブラフィッシュを用いてリボソームの異常に起因する「リボソーム病」発症の分子機構を解明することを目的とする。 1.DBAモデルのポリソーム解析 ダイヤモンド・ブラックファン貧血(DBA)のゼブラフィッシュモデルからポリソーム画分を調製して、ここから抽出したmRNAのプロファイルをDNAチップにより解析した。その結果、RPS19の欠損により翻訳が変動した造血に関連すると思われる遺伝子を見出した。この遺伝子はRP欠損の下流にあるDBA発症に関わる重要な因子と考えられる。 2.RP/p53二重欠損モデルの解析 RP欠損とp53経路の活性化の関係を調べるために、p53遺伝子欠損ゼブラフィッシュを用いてRPL11遺伝子をノックダウンした。その結果、野生型でRPL11をノックダウした場合に見られる表現型の一部が回復することが明らかになった。これまでの知見とは異なり、p53経路およびp53非依存の経路の両者が、RP欠損による造血異常や発がんに関与している可能性が示された。 3.RNA修飾欠損モデルの作製・解析 ゼブラフィッシュを用いて、rRNAの修飾に働くsnoRNA(U26、U44、U78)の生成を阻害した。その結果、頭部や尾部、色素沈着などに異常を認め、1週間で致死となることが明らかになった。U26snoRNAの発現を阻害した胚からリボソームRNAを抽出して、質量分析計により解析したところ、U26の標的部位におけるRNA修飾の低下を検出した。これは、脊椎動物の初期発生におけるRNA修飾の重要性を明らかにした最初の報告である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DBAモデルのポリソームmRNAの解析、RP/p53:二重欠損モデルの作製、RNA修飾欠損モデルの作製・解析において、研究は順調に進んでおり重要な成果も得られている。しかし、RP/p53二重欠損モデルの解析、先天性角化不全症(DC)モデルの解析においては、ポリソーム解析は行ったものの翻訳効率が変動した遺伝子の同定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
RP/p53二重欠損モデルおよび先天性角化不全症モデルにおけるポリソームmRNAの解析を進める。また、DBAモデルのポリソームmRNAの解析は次世代シーケンサーも併用して行う。これらの解析により、病態にリンクして翻訳効率が変動した遺伝子を同定する。
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Research Products
(14 results)