2011 Fiscal Year Annual Research Report
RNA鎖の連結に関与する酵素群の同定とその性状解析
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22370066
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金井 昭夫 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60260329)
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Keywords | アーキア / tRNA / Pyrococcus furiosus / RNA ligase / RNAプロセシング / イントロン / tRNA前駆体 / 組換え体酵素 |
Research Abstract |
これまで、超好熱性アーキアであるPyrococcus furiosusをモデル生物として用いて、RNA鎖の連結に関わると考えられる3種の酵素に焦点を合わせて解析を行って来た。すなわち、(a)Putative2'-5' RNA ligaseであるPF0027。また既に報告がある酵素のホモログとして同定した(b)T4 RNA ligaseタイプのPF0353、及び(C)RtcBタイプのPF1615である。本年度は以下の知見を得た。 1.各RNA ligaseにおいて生化学的な性状解析を行った。特に、PF0353は連結に必要なRNA鎖の末端構造が3'-OHと5'-phosphateであることを確認した。ここで、tRNAのアンチコドンループにギャップが入ったような基質を連結する場合は、ATPが必ずしも必要でないが、ATPによってligation活性が促進されることが分かった。また、PF1615は、2',3'-cyclic phosphateと5'-OHを連結するが、その反応はGTP依存的であり、活性にMn^<2+>イオンが必要であった。 2.各RNA ligaseを特異的に認識する抗体を用いて、同アーキアの全細胞タンパク質のゲル濾過分画を解析したところ、生体内では、PF0353が約440kDaの、PF1615が約150-200kDaの複合体中に存在している可能性が示唆された。 3.RNAの末端構造に存在するリン酸基を環状化するGTP依存性の3'-RNA phosphate cyclase(PF1549)を同アーキアから見いだし、本酵素がPF0027と協調的に働く可能性を示唆した。 4.ARMANというアーキアのゲノム中に、Pre-tRNAからイントロンを切り出す、新しいタイプ(ε2型)の酵素をコードする遺伝子を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つのRNA ligaseの組換え体タンパク質を作成し、その生化学的な性状解析をほぼ終えている。抗体も特異的なものが作成でき、これらの酵素が存在する複合体解析に、研究の重点が移ってきた。また、RNAプロセシングに関わる関連酵素の解析も進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA ligaseの機能に関わる解析や、その複合体の構成成分の解析に集中し、最終年度に世界的な成果につなげたい。解析はMSによるタンパク質同定を含むが、この目的のためには、ある程度のタンパク質の量が必要である。免疫沈降法などでは、複合体がうまく沈降しないこともあり、3種の酵素の中から、より明らかな結果がでる酵素を選び、オリジナリティが高い研究につなげていきたい。
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Research Products
(6 results)