2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御ネットワークから見る原口形成と原腸胚オーガナイザーの進化のメカニズム
Project/Area Number |
22370075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平良 眞規 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (60150083)
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Keywords | ネッタイツメガエル / オーガナイザー / 転写因子 / ChIP-seq / Lhx1/Lim1 / Otx2 / p300 / TLE/Groucho |
Research Abstract |
脊椎動物初期発生の原口と原腸胚オーガナイザーは基本的ボディプラン形成において重要な役割を担う。この発生様式の進化過程を明らかにするため、本研究では原口とオーガナイザーに発現する転写因子に注目し、染色体免疫沈降シーケンス(ChIP-Seq)法を用いて、二胚葉動物イソギンチャク(Nematostella:Nv)や脊椎動物ネッタイツメガエル(Xenopus tropicalis:Xt)で転写制御ネットワークの大規模比較解析を行う。本年度は以下の点について計画し遂行した。 1)ChIP解析のための抗体作成:Nv_Lhx1、Nv_FoxA、Nv_braのGST融合蛋白質を大腸菌で合成した。Nv_Lhx1でウサギを免疫し、抗血清から特異抗体を精製した。Nv_FoxA、Nv_braは大腸菌内で不安定であったため比較的安定なNv_FoxA(aa143-286)とNv_bra(aa226-317)を用いることとした。 2)Xt胚を用いたChIP-seq解析:抗Xt_Lhx1/Lim1、Xt_Otx2抗体とXt原腸胚を用いてChIP-seqを行った。得られたタグをXtゲノム配列上にマップし、特異的な結合を示す多数のピークを得た。結合領域がエンハンサーかサイレンサーかを識別するため、coactivatorのp300とcorepressorのTLE/Grouchoの抗体で同様にChIP-seqを行った。 3)ChIP-Seqの結果の査定:Lhx1/Lim1とOtx2ついて精査したところ、両者は多くの箇所でピークが重なり、かつp300やTLEのピークとも重なった。さらに進化的に保存された配列とも重なることから、これらの領域はシス制御モジュールを形成すると考えられる。 4)標的遺伝子のシス制御モジュール解析:同定されたシス制御モジュールは、近傍遺伝子の発現パターンやLhx1/Lim1とOtx2の機能阻害胚における発現解析から、エンハンサーかサイレンサーとして機能することが予想された。そこでX.laevis胚を用いたレポーターアッセイを行ったところ、予想通りの結果が得られた。特にOtx2との関連でみると、Otx2は転写の活性化と抑制の両方に関わること、それにより個々の遺伝子はOtx2という位置情報を基に発現のオンとオフを決めていることが示唆された。これは注目すべき結果である。
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Research Products
(6 results)