2010 Fiscal Year Annual Research Report
基本単位を組み上げ自発的に複雑な秩序構造を作る新たなモデル、カイメン骨片骨格形成
Project/Area Number |
22370077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船山 典子 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30276175)
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Keywords | 個体形成 / 発生ロジック / カイメン / 骨片骨格 / 細胞間相互作用 / 位置情報 |
Research Abstract |
・レーザー照射により骨片を立てると予想される場所の基底扁平上皮、又は骨片運搬細胞をレーザー照射で除去する方法を検討したが、骨片を立てる位置の予想、骨片運搬細胞のライブでの識別が困難であった。 ・上記の理由から、カイメン個体融合実験系という独自の新たな実験系の開発、カイメン個体をカバーガラスの淵に形成させ、一部をミクロナイフで切断(破壊)、毒性のなかったグリースで、一部を切断したカイメン個体を2つ非常に近接させて位置し、個体融合を促すという方法を確立した。技術的に困難で熟練が必要であるが、個体融合を行うと、骨片のある個体から、成熟した骨片の無かった個体部分へ、骨片が運搬して立てられた。この実験系で「成熟した骨片が無い個体」とは、ケイ酸を加えない培地で培養し、骨片形成細胞は分化している個体である。個体融合実験の結果から、(i)骨片は将来骨片を立てる位置から、何らかの誘導作用を受けていること、(ii)骨片は同時に運ばれるのではなく、個別に運ばれ立てられるため、骨片運搬細胞が骨片運搬中に互いの制御することにより、最終的に骨片が立てられる位置に規則性が生じるという仕組みではないこと、技術的に困難であるためまだ充分な例数を得られていないが、立てる順に単純な法則性が見つけられないことから、(ii)骨片の立てる位置は、おそらくは骨片を立てる時のカイメン個体の広がり(基底扁平上皮の面積と形、個体のZ軸方向の厚みなどという体内空間から制御を受けているのではないかと考えられる結果を得た。 ・2段目の骨片の立てられ方の解析は進められなかった。 ・dsRNAを培養液に加える方法によるRNAi法の確立については、qPCRの結果が安定しないためにdsRNAを作用させる個体形成過程での時期、期間、プライマー配列、等詳細に検討中である。
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