2011 Fiscal Year Annual Research Report
基本単位を組み上げ自発的に複雑な秩序構造を作る新たなモデル、カイメン骨片骨格形成
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22370077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船山 典子 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30276175)
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Keywords | 個体形成 / 発生ロジック / カイメン / 骨片骨格 / 細胞間相互作用 / 位置情報 |
Research Abstract |
・これまで骨片に沈着させる蛍光色素としてミトコンドリア生体染色色素であるRhdamine123を用いていたが、ミトコンドリアの染色により、1段目1列目の骨片を立てる際、特に体の中央部分、厚味のある部分での骨片を識別することが出来なかった。新たにTetraM6thylRhdamineMethylEster(TMRM)を用いたところ、ほぼ骨片特異的は蛍光が観察され、体全体での骨片が検出可能と、技術的に革新的な改良に成功した。 ・海産カイメンのゲノムデータや遺伝子解析の研究により、カイメンでもWnt,Tgf-β、プロトタイプのShhといったシグナル分子によるシグナル経路の存在が明らかになってきている。当研究室のカワカイメンESTライブラリーより、これらのシグナル経路関連遺伝子を探索し、単離出来たWnt、Tcf、Dish、複数のTgfR候補遺伝子、nogginなどについて、ESTクローンの全長の配列を決定すると共に、in situ hybridizationによる発現パターンの解析を行った。骨片を立てる位置の基底扁平上皮でのスポット状の発現といった、骨片運搬細胞のリクルートに関与する様な明らかな発現パターンを示すものはなかった。しかし、海産カイメンゲノムではWnt遺伝子は3つ報告されているが、我々は1遺伝子しか得ていないこと等から、Wntシグナル系、FGFシグナル系に対する阻害剤の中で、作用部位がカイメン遺伝子で保存されており、作用すると期待出来るものを選定、これらを添加した培養での骨片骨格パターンへの影響の解析に着手している。 ・RNAi法確立のために、特異的抗体をすでに当グループで作製しており、タンパク質発現量の低下も検出出来る遺伝子として、Musashiホモログを指標の1つにしているが、RNAi法の評価の基礎となるMusashiホモログの詳細な発現パターンについての論文を出すことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
材料である芽球の入手が困難、質が悪かったこと。平成22年の夏の暑さ、平成23年には採集場所附近の畑の使用状況の変化かのためか、通常よりも材料である芽球を得ることが出来ず、得られたハッチ率が低く、成育も悪いため体の形も均等に広がる個体を得ることが困難で、骨片骨格形成の解析が困難であった。このためトランスクリプトーム解析のための充分な資料を得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな採集場所の探索と確保:カワカイメンの生息領域は、多くの水路の中の1つの10メートルほどの領域内の橋の下などと、非常に狭い。現在の岡山水路での採集場所の水系内、京都大学に近い琵琶湖附近で、精力的にカワカイメン成育場所の探索を行う。 材料を確保してトランスクリプトーム解析を進める。H23年度に着手した阻害剤を用いた解析を進める。
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Research Products
(4 results)