2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミドリゾウリムシとクロレラの細胞内共生成立機構の解明
Project/Area Number |
22370082
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤島 政博 山口大学, 理工学研究科, 教授 (40127783)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 細胞内共生 / ミドリゾウリムシ / 共生クロレラ / 二次共生 / 真核共生 / 食胞 / ペリアルガルバキュオール膜 |
Research Abstract |
筆者等はミドリゾウリムシと共生クロレラを使い、細胞内共生(二次共生)の成立過程を経時的に追跡できる実験系を確立して、共生の成立に必須な4種のチェックポイントの存在を発見した。この研究課題では、4種のチェックポイントの分子機構の解明を目的として実施し、これまでに、共生クロレラを包む宿主食胞膜由来のPerialgal vacuole (PV)膜を細胞表層直下に短時間で輸送する機構と表層直下に接着させる物質の存在が細胞内共生成立の最終段階として重要であることを明らかにした(Kodama and Fujishima, Protoplasma 231, 55-63, 2007)。さらに、表層直下に配列しているトリコシスト(刺胞)を除去してもPV膜に包まれたクロレラは表層直下に接着するので、トリコシストに接着しているわけではないことを明らかにし(Kodama and Fujishima, Protist 160, 319-329, 2009)、平成24年度には、PV膜が宿主細胞表層直下のミトコンドリア外膜に接着することを明らかにした(Fujishima and Kodama, Eur J Protistol, 48, 124-137, 2012)。また、強い遠心によって、PV膜で包まれたクロレラ、食胞、リソソーム等を細胞後端に分層させる技術を開発し、遠心終了後、わずか5分で元の位置にこれらが同調して戻る現象を発見した(Kodama and Fujishima, 投稿中)。これらの細胞構造の位置の回復は、原形質流動を阻害すると完全に阻害され、再配置の原動力が原生質流動であることが明らかになった。これによって、PV膜とミトコンドリア外膜との接着にどんな因子が必要かを解析する実験系が確立された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PV膜に包まれたクロレラが宿主表層直下のミトコンドリアに接着することが明らかになった。PV膜に対するモノクローナル抗体はまだ取れないが、2名の学生が抗体取りを行っているので、いずれ取れることが期待できる。 研究計画にある近縁種のパラメシウム・プトリナムの大核にパラメシウム・ブルサリアの大核クロマチンを移植してクロレラを共生させる能力を獲得させる実験は、マイクロマニプレーターの調整に時間を要したために遅れているが、6月から開始する。
|
Strategy for Future Research Activity |
PV膜に対するモノクローナル抗体が得られたら、他のクロレラ共生系のPV膜またはシンビオソーム膜(ラッパムシ、クリマコストマム、プロロドン、フロントニア、ツリガネムシ、コルポダ、マヨレラ、ユープロテス、ヒドラ、イソギンチャク、サンゴ等)におけるPV膜抗原決定基の普遍性を間接蛍光抗体法とイムノブロットの交叉反応性で明らかにする。 また、PV膜特異的抗原決定基の出現時期を食胞からPV膜が分化する過程のどの時期かを間接蛍光抗体法で明らかにする。
|