2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歩行における全身的協関の環境適応:肺-循環-筋の連関に着目して
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22370091
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
福岡 義之 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20265028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福場 良之 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (00165309)
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50125712)
安部 大治郎 九州産業大学, 健康スポーツ科学センター, 講師 (10368821)
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Keywords | 全身的協関 / 環境適応 / 生理的多型性 |
Research Abstract |
昨年度確立した実験手法を用いて以下の2つの実験を実施した。 I.低酸素環境暴露下での歩行時の換気応答と循環応答 歩行運動時の低酸素環境暴露について循環応答およびガス代謝応答から検討した。被験者は健康な一般成人男女13名とし、トレッドミルの歩行速度は時速3km~6kmをサイン波状に変化するプロトコールとした(昨年同様)。ガス代謝、筋内酸素化動態及び循環動態の時系列データ解析には、周波数解析を用いた。低酸素条件を軽度な低酸素(F_IO_2=15%)と常酸素(F_IO_2=21%)の2条件とした。その結果、低酸素では、ガス代謝(V_E、VO_2、VCO_2)の振幅および位相差に違いは認められず、すべてのパラメータにおいてベースラインの増加が認められた。また、低酸素では、心拍の応答が有意に遅くなった。循環動態のHRが最も低酸素刺激の影響を受けやすいことが分かった。 II.歩行時の歩行様式の変化に対する換気応答~ピッチ変容(ストライド固定)とストライド変容(ピッチ固定)~ ファンクション・ジェネレータを用いてサイン状変動の音を作成した。被験者(10名)はこの音に合わせて歩行を実施した。(1)ピッチ変容条件:サイン波状のピッチ音を36rpm~72rpmの範囲に変動させる。サイン波速度とサイン波ピッチとの関係からストライドは80cmに固定される。(2)ストライド変容条件:ピッチを60rpmに固定する。3km/h~6km/hのサイン波速度変化から考えて、サイン波ストライドの変動は42cm~83cmになる。(3)自由歩行:上記の2条件の対照条件として自由歩行の条件を追加する。これら3条件を比較することで、歩行パターンの変化が換気応答に及ぼす影響が観察できる。その結果、pitch可変とfreeの条件間でV_E、VO_2、VCO_2、HRの振幅応答に大差なかったが、stride可変でこれらの振幅が有意に小さくなった。位相差はVO_2のstride可変で有意に大きく、他のパラメータは条件間で大差なかった。このことから、stride可変の歩行パターンではエネルギー代謝動態が顕著に遅れることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H22~23年度の研究実施は計画通りに進行し、H24年度は最後の1つの実験を残すだけとなり、十分な総括までできる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は最後の実験として「高齢者のロコモーションの特性」に焦点をあてる。これまでの3つの実験とは対象が異なるので、高齢者のリクルートの点で苦労があるだろうが、地域自治体の「シルバー人材センター」との協力を得て完了したいと考えている。
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Research Products
(15 results)