2010 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティック変異発動システムによるリンゴ枝変わり品種の作出
Project/Area Number |
22380003
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
原田 竹雄 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10228645)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 峰生 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (30261457)
|
Keywords | RNAサイレンシング / siRNA / エピジェネティック / 接ぎ木 / RNA輸送 / 篩管 |
Research Abstract |
塩基配列変化を伴わない遺伝子発現抑制機構、転写後型ジーンサイレンシング(Transcriptional Gene Silencing,TGS)が知られている。これはエピジェネティック(後成遺伝)現象であり、TGSは遺伝子のプロモーター領域と相同な配列を持つ二本鎖RNAの存在下で誘導され、一般にメチル化を伴う。この機構により誘導された発現抑制が自殖後代でも維持されることが判っていることから、その発動は植物育種にも活用できると指摘されている。さらに、植物においてsiRNAは篩管を介して全身に運ばれる事実が明らかにされている。そこで、siRNAを接ぎ木輸送させることで、接ぎ木のパートナー個体にTGSを発動できるかどうかを検討した。siRNAを篩管特異的プロモーターで発現させたタバコに、そのsiRNAに相同配列を有するプロモーター(35S)にGFPを連結した人工遺伝子の導入タバコを接ぎ木して、GFPの発現抑制を解析した。その結果、TGS発動が確認された。その発現抑制は、台木から穂木へよりも、その逆の穂木から台木に対して強く表れた。これは、siRNAの篩管輸送が茎や葉から根の方向へより多く輸送されることを意味する。さらに、抑制は根の側根で極めて強く発動する事実が観察された。側根は主根の内部、篩管周辺組織である内生細胞より形成されることから、そこから分化する側根ではTGSが全細胞で発動するものと考察された。リンゴなどの果樹では根生不定芽が形成することから、このTGS発動システムの果樹での実用が期待される。また、より多くのsiRNAシグナルを篩管輸送させる専用ベクターの作製を試みた。このベクターは伴細胞特異的プロモーターによる転写と増幅系を有している。さらに、複数の制限酵素認識配列を設けて、その部位へ任意の遺伝子を挿入するだけで、その挿入遺伝子のsiRNAを産生できるという汎用性を持たせた。
|