2011 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティック変異発動システムによるリンゴ枝変わり品種の作出
Project/Area Number |
22380003
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
原田 竹雄 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10228645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 峰生 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (30261457)
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Keywords | 接ぎ木 / 篩管輸送 / リンゴ / 台木 / 穂木 / RNA |
Research Abstract |
siRNA長距離輸送の導入個体を接ぎ木し、その接ぎ木相手にTGSを発動できることが我々の実験により明らかにされた。そこで、このシステムをリンゴにおいて実用するため、そのターゲット遺伝子として当該研究室で解析してきたMdACS3aを選択した。その理由としては、MdACS3aがリンゴ果実において日持ち性と大きく関わるものと判断されたことによる。すなわち、果実ライプニングに関わるACC合成酵素遺伝子の一つであるMdACS3aの発現は、リンゴ果実におけるMdACS1によるエチレン生成バーストの開始に重要な役割を果たしている。そこで、転写型サイレンシング発動を目的としたコンストラクトはMdACS3aプロモーター領域の-65~-403をinverted RepeatとしたMdACS3aPro-IRとしして、リンゴの台木品種マルバカイドウに形質転換中である。 さらに、リンゴ品種の日持ち性はエチレンシグナルより下流にあるβポリガラクツロナーゼにより規定される事実を過去において発表してきた。そこで、この遺伝子にTGSを発動させることが極めて有効であるものと判断された。PGプロモーターの-bから-bまでをインバーテド繰り返し配列として、MdPG1ProIRをプロモーターをCoYMVとしたコンストラクトを作製した。また、これをリンゴに形質転換するには時間を要することから、タバコ(N.benthamana)葉におけるアグロインフィルトレーションを実施して、一過的に産生されるsiRNAをこのタバコとリンゴを幼苗にて接ぎ木させることで、タバコ穂木からリンゴ(王林)台木へと輸送させて、王林にTGSを発動させて、その発動組織からの再分化を図る。これらのシステムを現在検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予備実験において、タバコ間ではTGSの発動は接ぎ木個体で明確に認められている。スターターであるsiRNAコンストラクトは作製されている。さらに、ターゲット遺伝子を保有するリシゴ(王林)の準備もできている。
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Strategy for Future Research Activity |
リンゴの形質転換体を作出するには、かなりの労力と時間を有する。そこで、タバコでのアグロインフィルトレーションを活用することが考えられた。これまでの実験から、この系によるsiRNA産生量は極めて多く、この産生ピーク時にてタバコ-リンゴ間で接ぎ木を行うことで、siRNAをリンゴに輸送できる可能性がある。 もう一つの対策として、リンゴの子葉から形質転換体を作出する方法が考えられる。子葉からの転換体獲得効率は極めて高い。この再分化効体は親品種と異なるゲノムを有するため、品種的には価値が無いが、接ぎ木にて目的品種にsiRNAを供与するだけの役割においては、大変魅力的である。必要性があれば、検討したい実験であるが、やはり、タバコのアグロインフィルトレション法が最も優れているので、本年度はこれを主に研究を進める。
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Research Products
(5 results)