2010 Fiscal Year Annual Research Report
根系の可塑的応答能力強化によるイネの土壌水分変動ストレス耐性の確立
Project/Area Number |
22380013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山内 章 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30230303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬飼 義明 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20377790)
小川 敦史 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30315600)
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Keywords | 土壌水分 / 変動ストレス / コアコレクション / 可塑性 / 根 / QTL / 染色体都分置換系統群 / 天水田 |
Research Abstract |
1. 乾燥ストレス条件で発揮される可塑性 日本晴/カサラス由来の染色体断片置換系統群、世界のイネコアコレクション69品種ならびに、OryzaSNP Panel 20品種を用い、Line source sprinkler法によって、根系の発育的可塑性と、地上部の成長反応との定量的関係を調べたところ、乾燥区での地上部乾物重の抑制程度からRAYADA, IRAT109、Li-Jiang-Xin-Tuan-Hei-Gu、Rexmontを耐旱性の大きい、SWARNAを小さい品種として選抜した。そしてこれらには根系の発育反応が密接に関わっていることが予測された。 2. 土壌水分変動条件で発揮される可塑性 同系統群から、土壌水分変動条件に対して日本晴と比べ明らかに適応性の高いものとして系統47番を選抜し、根の発育的可塑性が重要な役割を果たしていることを認めた。 3. 天水田条件で発揮される可塑性 IR64の準同質遺伝子系統群(NILs)を用いて、天水田圃場において、地上部の生育及び根系の発育を精査し、また、ガラス室内で傾斜円筒法によって、乾燥ストレスならびに再潅水に対する根系発育反応を非破壊連続的に追跡し、水吸収量と乾物生産に対する貢献度を定量的に評価した。その結果、IR64NILのうちYTK191、YTK313はその親のIR64に比べて明らかに高い根系発育の可塑性を発揮し、そのことが地上部の生育に貢献していたことが明らかとなった。 4. 乾燥ストレス×窒素施用量相互作用が可塑性発揮に及ぼす影響 上述のLine source sprinkler実験圃場において、水ストレス処理に加え、窒素施肥処理を行った。系統50番は、土壌乾燥ストレス条件に応答して根系発育における可塑性を発揮し、またその発現程度は、体内養分濃度の影響を受け、最も強く可塑性が発揮される最適濃度が存在することが明らかとなった。
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