2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネのアレロパシーの解明・・・モミラクトンの水田生態系における役割と雑草抑制機構
Project/Area Number |
22380016
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
加藤 尚 香川大学, 農学部, 教授 (50222196)
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Keywords | 雑草抑制 / アレロパシー / イネ / モミラクトン / 作用機構 / シロイヌナズナ / 二次元電気泳動 / ジベレリン変異体 |
Research Abstract |
1.イネ根圏土壌におけるモミラクトンの濃度測定方法の確立 イネ根圏土壌におけるモミラクトンAとモミラクトンBの濃度測定方法を確立した.イネ水田から土壌を採取し,Kobayashi(2004)の方法を参考にし,遠心分離法により土壌水を分離した.分離した土壌水中のモミラクトンAとBの濃度測定方法は,Kato-Noguchiら(2002;2009)のHPLC法を参考にして確立した.今後,イネ土壌水中のモミラクトンAとB濃度を測定することで,イネ根圏へのモミラクトン放出量が明らかにできる. 2.モミラクトンの雑草抑制(アレロパシー)の作用機構に関する研究 (1)ジベレリン変異体にモミラクトンを与え,モミラクトンの作用点を明らかにする. モミラクトンをシロイヌナズナ(ジベレリン変異体)に与えその影響を検討した.ジベレリンの生合成,ジベレリンの感受,ジベレリンの初期のシグナル伝達系に関する変異体を用いた.これらの変異体に対するモミラクトンの効果を検討したが,明確な実験結果が得られなかった.さらに,ジベレリンの生合成,ジベレリンの感受,ジベレリンの初期シグナル伝達系に関する遺伝子の発現をリアルタイムPCRで検討したが,モミラクトンの作用機構を明確に説明できる遺伝子は明らかにできなかった.今後は,シロイヌナズナのSALKライン(約1万種の変異体コレクション)を用い,モミラクトンに感受性と非感受性の変異体を検索することで,モミラクトンの作用機構を明らかにしていく. (2)モミラクトンにより誘導されるタンパク質を明らかにする. モミラクトンを投与したシロイヌナズナ野生株から,粗タンパク質を抽出し,粗タンパク質を二次元電気泳動で分析した.モミラクトン投与後12時間後にシロイヌナズナのタンパク質を二次元電気泳動法で分析したところ,モミラクトン投与区でのみ発現しているタンパク質が15個,対照区でのみ発現しているタンパク質が17個見つかった.現在,これらのタンパク質をトフマスにより同定している.
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