2010 Fiscal Year Annual Research Report
光質制御による果樹の生理活性物質代謝および光応答機構の解明
Project/Area Number |
22380020
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
近藤 悟 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (70264918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 伸博 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00165151)
菅谷 純子 筑波大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (90302372)
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Keywords | 園芸学 / アブシシン酸 / ジャスモン酸 / 赤色光 / 青色光 |
Research Abstract |
光量制限(低日照)条件がリンゴ樹の花芽形成に及ぼす影響を検討した。リンゴの花芽形成に関連する遺伝子として、幼若性に関連するMdTFL1および花形成に関連するMdFT1の発現について検討した。光量を制限することにより、花芽形成率は無処理区の80%に対して、低日照区で30%と大きく減少した。この条件下で、2つの遺伝子発現を花芽形成期前の満開後30日から花芽形成終了期の満開後80日まで経時的に検討した。MdFT1の発現は一定の傾向を示さなかったが、MdFTL1の発現は低日照下で恒に高くなった。この結果は、リンゴの花芽形成に及ぼす光量制限の影響は、MdFTL1との関わりが強いことを示唆する。 光質とABA代謝の関連を検討するにあたり、ABA代謝を阻害する物質の検討を行った。ABA8'位水酸化酵素はチトクロームP450酵素の一種であるが、チトクロームP450酵素はABA合成の他、植物の生長に関わるジベレリン合成のエントカウレンからエントカウレン酸への酸化過程にも関わる。そのため、ABA8'位水水酸化酵素に特異的および効率的に作用する化合物を合成し、リンゴ葉の気孔開閉に及ぼす作用から、その有効性を検討した。本化合物は酵素選択性を向上(選択性の低いリガンドを選択性の高いリガンドに改造)させ、ウニコナゾールの分子量を変え合成し、ABZ-E1と名付けた。10-100マイクロモル濃度のABZ-E1をリンゴ葉に処理し、その効果を検討した。気孔閉鎖に及ぼす影響は濃度の上昇とともに増加し、100マイクロモルで最も優れたが、10マイクロモル濃度でも気孔の閉鎖に十分な効果を示した。今後光量および光質とABAをはじめとした生理活性物質の代謝について検討する。
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Research Products
(1 results)