2011 Fiscal Year Annual Research Report
重金属塩によるナシ花柱内リボヌクレアーゼの不活化を利用した単一品種栽培法の確立
Project/Area Number |
22380022
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平塚 伸 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (10143265)
|
Keywords | ナシ / 自家不和合成 / RNase / 重金属塩 / 無受粉・無摘果栽培 / 単一品種栽培 |
Research Abstract |
本研究は、ナシの開花期に重金属塩処理を行い、花柱のRNase活性抑制によって自家着果を促進させ、ポジティブリスト制度などで問題となるナシの混植栽培を回避しようとするものである。さらに、重金属を含む殺菌剤であるボルドー液での着果促進効果を検し、これらの濃度や理時をえることにより10%の着果誘発させ、無受粉・無果栽培法を確立することを目的とする。'幸水'を用いた本年度の研究で、得られた結果は以下のように要約される。 1)'幸水'圃場に7mx6mx4mの網室を設置して昆虫の飛来を防ぎ、大規模な実用試験を行った。開花前にCuSO4とFeSO4溶液を散布すると、どちらも20%程度の着果率が得られ、大幅な摘果労力の軽減ができた。但し、得られた果実は小玉だったため、仕上げに摘果時にジベレリン(GA)ペースト処理をした結果、十分に肥大した果實が得られ、収量は対照とした他家受粉区と同程度となった。なお、GA処理により熟期が1週間~10日程度早まったことより、収益としては1.5倍程度多くなると計算された。 2)開花前の蕾にCuSO4とFeSO4溶液を散布し、花台からのエチレン発生量、花台中のACC合成酵素活性およひACC酸化酵素活性を測定した結果、処理による有意な影響は認められなかった。離層の形熊にも大きな羊は観察できなかったことより、重金属塩処理による'幸水'の着果にエチレンが関与する可能性は低いと結論された。 本研究をさらに押しめ、'幸水'の単一品種栽培や無受粉・無摘果の更なる省力栽培が可能かを明らかにする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圃場実験はほぼ予定通り遂行できており、'幸水'の単一品種栽培法の新技術として公表できる見通しが立った。また、重金属による着果には、エチレンが関与する可能性は低いと結論できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
圃場での試験を、加温ハウスおよび無加温ハウスで検証する。なお、花柱のRNase活性はFe++、Cu++によって抑制されるが、S-RNase活性自体に対する効果が不明瞭なため、早急にS-RNaseの単離を行い、純粋なS-RNaseに対する効果を確認する。
|