2010 Fiscal Year Annual Research Report
モモ果肉における障害発生の要因と機構の解明及び防止策の確立
Project/Area Number |
22380026
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久保田 尚浩 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70033272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 文夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (60294443)
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Keywords | モモ / 果肉障害 / 赤肉症 / 水浸状果肉褐変症 / 障害の特徴 / 発生要因 / 発生機構 |
Research Abstract |
水浸状果肉褐変果の発生率は'華清水'が最も高く,次いで'白鳳','紅清水'の順であったが,発生の程度には品種間に差がなかった.'川中島白桃'では"水浸状果肉褐変症"だけの発生は認められず,"赤肉症"との合併症果が多かった.果実重は障害果と正常果との間に一定の傾向がみられなかったが,エチレン発生量は障害果で高かった.果肉硬度は,'華清水'を除き障害果で低い傾向であった.糖度は,有意差はないものの,3品種とも正常果よりも障害果で高く,しかも程度が激しいほど高かったが,糖組成との関係は明確でなかった.果肉のエタノール含量は,障害程度1の果実では正常果と大差ないが,程度2ではどの品種も正常果より著しく多かった.'華清水'では障害の程度が激しいほどペクチンが多く,特にヘキサメタリン酸ナトリウム可溶性ペクチンが多かった."水浸状果肉褐変症"の発生時期は収穫開始期よりも数日早かった."水浸状果肉褐変症"と"赤肉症"の合併症果の割合は'川中島白桃'で最も高く、次いで'紅清水','白鳳'の順であった.合併症果は,果実が大きく,エチレン発生量が多く,果肉硬度が低く,糖度が高かった."赤肉症"だけが発生した果実のエチレン発生量は正常果と大差なかった.以上のように,水浸状果肉褐変果は果肉硬度が低い傾向である一方,エチレン発生量と糖度が高かった.その程度が激しいほどエタノール含量が多いことから,これがアルコール臭に関係していると推察されたが,その主要な成分等については更なる調査が必要である.'華清水'では水浸状果肉褐変果のペクチン含量が多く,肉質や果肉硬度との関係が示唆されたが,この点については品種を増やして詳細に調査する必要がある.合併症果は"赤肉症"よりも"水浸状果肉褐変症"の特徴と酷似した.
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Research Products
(3 results)