2010 Fiscal Year Annual Research Report
園芸作物の品質に及ぼすストレス処理の影響と新たな貯蔵技術の確立
Project/Area Number |
22380027
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山内 直樹 山口大学, 農学部, 教授 (60166577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
執行 正義 山口大学, 農学部, 教授 (40314827)
今堀 義洋 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40254437)
石丸 恵 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (90326281)
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Keywords | 園芸利用学 / 貯蔵技術 / ストレス反応 / 品質保持 |
Research Abstract |
本研究の目的は,(1)各種ストレス処理による園芸作物の生理反応について,生理・生化学・分子生物学的側面から追究し,(2)得られた結果に基づき望ましい収穫後処理方法を確立することである。今年度は,(1)高温処理(青ユズ,長門ユズキチおよびブドウ),(2)エタノール処理(ブロッコリーおよびコギク),(3)UV-B処理(ライムおよびブロッコリー),(4)過酸化水素処理(ピーマン)について実施した。1.高温処理:1)青ユズ,長門ユズキチなどの緑色香酸カンキツに高温(温湯)処理を行ない25℃下で貯蔵し,脱緑抑制効果を中心に検討した。青ユズでは,40℃5分と10分処理で約10日,長門ユズキチでは45℃5分処理で約6日長く脱緑抑制が可能になった。高温処理による効果は,脂質過酸化の抑制による生体膜変化の遅延によっているものと思われた。2)高温がブドウのアントシアニン生成に及ぼす影響について検討した。高温下で生育するエビヅル,リュウキュウブドウでは高温処理下でもアントシアニンの組成変化はみられなかったが,キャンベルアーリーでは組成変化がみられた。これらのアントシアニン生成について生合成遺伝子の発現解析からも相違を調べた。2.エタノール処理:1)エタノール蒸気処理によるブロッコリーの老化抑制に及ぼす貯蔵温度の影響について調べ,貯蔵温度が高いほど品質保持期間の延長に対するエタノールの有効性が高いことを認めた。2)コギク切花の鮮度保持に及ぼすエタノール処理の影響について調べ,エチレンによる葉の黄化促進の抑制効果はみられなかったが,葉の老化抑制効果の可能性は示唆された。3.UV-B処理:1)UV-B処理によるライムの品質保持効果と活性酸素生成・消去に関連する酵素,抗酸化成分に及ぼす影響について調べたところ,処理により貯蔵中の品質保持効果がみられ,その効果は過酸化水素などの活性酸素の生成が抗酸化システムを活性化させることによるものと推察した。2)ブロッコリーの貯蔵中におけるクロロフィル分解酵素の遺伝子発現におけるUV-B処理の影響について調べた。クロロフィラーゼ遺伝子はUV-B処理により発現増大がみられ,フェオフィチナーゼ遺伝子およびフェオホルビドaオキシゲナーゼ遺伝子の発現増大は処理により抑制が認められた。同時にマイクロアレイ解析も行い,クロロフィル分解酵素関連遺伝子の網羅的解析を行った。4.過酸化水素処理:ピーマンに過酸化水素処理を行うと,アスコルビン酸含量の増大,モノデヒドロアスコルビン酸還元酵素およびグルタチオン還元酵素活性の増大が認められた。これらの結果から,処理によるアスコルビン酸-グルタチオンサイクルへの影響が示唆された。
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Research Products
(6 results)