2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物いもち病菌の病原性に果たすクロマチンリモデリング遺伝子の役割
Project/Area Number |
22380031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中屋敷 均 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (50252804)
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Keywords | いもち病菌 / ヒストンメチルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
本課題研究では、イネ科植物いもち病菌のクロマチンリモデリング遺伝子をRNAiを用いて網羅的に解析する予定であった。しかし、RNAi変異体における遺伝子発現を調査した所、非ターゲット遺伝子における発現抑制が顕著に見られる例が散見されたため、ターゲッティングによる遺伝子破壊法を中心に研究を進めることとした。これまでにヒストンメチルトランスフェラーゼである6個の遺伝子(MGG_05254, MGG_01661, MGG_15053, MGG_07393, MGG_02937, MGG_06852)の破壊株を作製した。これら遺伝子破壊株の病原性を調査した所、MGG_07393破壊株では病原性が大きく低下していることが明らかとなり、またMGG_06852破壊株でも有意な病原性の低下が見られた。MGG_07393破壊株では、胞子形成能および付着器形成率も大きく低下していた。この付着器形成欠損は、そのシグナル因子であるcAMPを加えることにより回復したことから、MGG_07393は付着器形成のためのシグナル伝達に何らかの欠損があることが示された。また、ピストン修飾に対する抗体を用いたウエスタンブロッティング解析から、MGG_07393はH3K4me2の修飾を、またMGG_06852は、H3K9me3の修飾を担っていることが明らかとなった。MGG_07393破壊株では、付着器形成や他の病原関連遺伝子の活性化に必要な蛋白質リン酸酵素であるPMK1座におけるH3K4me2修飾が大幅に低下していることがクロマチン免疫沈降法によって示され、病原性の低下の一因となっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロマチンリモデリング遺伝子の一種であるヒストンメチルトランスフェラーゼの6種の破壊株が得られており、その性格付けも順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、ヒストンメチル化修飾のうち、MGG_07393が触媒するH3K4me2の重要度が高いことが明らかとなった。そこで、いもち病菌の感染において、この修飾がどのように変化して行くのか、経時的にChlP-seq解析を行うことにより、本菌感染過程におけるクロマチン修飾の重要性を明らかにする予定である。
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