2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
刑部 正博 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50346037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 達也 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70378818)
竹田 真木生 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20171647)
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Keywords | UV-B / カロテノイド / アスタキサンチン / ミカンハダニ / カンザワハダニ |
Research Abstract |
ミカンハダニ卵のカロテノイド組成について、アスタキサンチン、カンタキサンチン、フェニコキサンチン、3'-ヒドロキシエキネノン、β-カロテンなどを同定した。野生型とアルビノの正逆交配により得られた卵の分析では、野生型を母親とした場合にのみこれらのカロテノイドが検出されたことから、卵のカロテノイド組成は母性効果によることが示された。野生型とアルビノの卵およびそれらの正逆交配による卵について、太陽光紫外線(UV)に対する耐性を比較した結果、6月にはカロテノイドを有する卵の耐性が高い傾向が認められた。一方、10月には影響がなくなり、いずれのふ化率も高くなった。太陽光UVの影響の季節変化について、ナミハダニ卵を用いて調査した結果、春に強く、その後秋に向かって減少する傾向が認められた。しかし、猛暑のため盛夏での影響が調べられなかったため、今後、さらに検討を要する。カンザワハダニ雌成虫では、休眠誘起によるUV耐性の上昇が確認され、休眠雌のカロテノイド分析ではアスタキサンチンのエステル体と考えられる多くのピークが検出された。カロテノイド組成とUV耐性の関与について、今後も反復実験を行う予定である。また、カンザワハダニ雌成虫では絶食によりアスタキサンチン含量が増加する傾向が明らかになった。この点について、高密度による餌の質の低下と分散ならびに分散時のリスクとしての太陽光UVの照射などが関連事項として考えられる。さらに、野外調査により、太陽光の有無ならびに紫外線強度の季節変化が、ミカンハダニの分布や生存に影響を及ぼしていることが明らかになった。以上の検証を進めることにより、さまざまな動物が植物から取り込み、代謝、蓄積しているカロテノイドの生態的意義を理解するのに貢献できる。概日リズム等に係る代謝調節因子については、エクダイソン受容体遺伝子(mRNA)の部分配列の決定など、解析に取り組んでいる。
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Research Products
(2 results)