2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質分解酵素系転写制御分子機構の解明と改変
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22380050
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
福田 雅夫 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20134512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 大輔 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (80452085)
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Keywords | ビフェニル / 二成分制御系 / Rhodococcus / 転写制御機構 |
Research Abstract |
環境汚染物質であるポリ塩化ビフェニル(PCB)分解酵素がPCB自体で誘導される分解菌の開発をめざし、分解菌Rhodococcus jostii RHA1における分解酵素誘導にかかわる転写制御機構解明と転写制御因子改変を目的とし、以下の成果を得た。(1)転写制御配列の解析:BphTが作用すると予想される24塩基のDNA配列に点変異を導入して転写活性の変化を調べたところ、誘導基質存在下での転写活性だけでなく、誘導基質やBphTがない場合の転写活性にも著しい変化が観察された。この24塩基のDNA配列が誘導基質存在下でのBphTによる転写誘導だけでなく、誘導基質非存在下でのBphTによる基礎レベルの転写活性化やBphTに依存しない転写活性にも関与していることを明らかにした。さらに、24塩基配列の外側の変異では転写活性に変化が見られなかったことから、BphTの相互作用が24塩基配列に限られることを明らかにした。(2)細胞内におけるBphT結合状態の解析:細胞内におけるBphTと24塩基配列との結合状態を解析するためin vivoフットプリンティングを行った。BphTを保持する細胞とBphTを欠失した細胞とで誘導基質非存在下での24塩基配列におけるフットプリンティングのパターンが明確に変化し、誘導基質存在下ではさらに異なるパターンとなった。この結果より、BphTは誘導基質非存在下でも24塩基配列に結合して基礎レベルの転写活性化をもたらし、誘導基質存在下では結合のパターンが変化して更に高い転写活性を誘導することが示唆された。以上の結果より、24塩基のDNA配列へのBphTの結合性が変化することにより転写活性が調節される転写機構を解明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標とする3つのプロジェクトは、(1)BphSTのシグナル伝達機構の解明、(2)BphTと相互作用する転写複合体の解明、(3)誘導基質認識機構の解析と基質特異性の改変である。(1)はほぼ完了したが、(2)と(3)においては結果を得るに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
目標とする3つのプロジェクトは、(1)BphSTのシグナル伝達機構の解明、(2)BphTと相互作用する転写複合体の解明、(3)誘導基質認識機構の解析と基質特異性の改変であり、(1)がほぼ完了したので、(2)と(3)に集中して結果を出す。(2)についてはBphT抗体を用いた免疫沈降と同時に(1)で明らかにした24塩基のDNA配列を用いたアフィニティークロマトグラフィーも検討する。RHA1株のゲノムシーケンスが完了しているので、回収したタンパク質のアミノ酸配列をTOF-MSで決めれば、その遺伝子を特定できる。、(3)については、従来の短いDNAプライマーを用いた部位特異的変異手法を止めて、長い合成DNA配列を用いて調製したDNA断片を置換して変異酵素遺伝子を一気に作成する手法を検討して時間を節約したい。
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Research Products
(2 results)