2011 Fiscal Year Annual Research Report
酢酸菌「酸化発酵」の分子基盤解析とそれに基づく「酸化発酵」能の開発
Project/Area Number |
22380054
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松下 一信 山口大学, 農学部, 教授 (50107736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薬師 寿治 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30324388)
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Keywords | 酸化発酵 / 酢酸菌 / キノプロテイン / フラボプロテイン |
Research Abstract |
グリセロールからのジヒドロキシアセトン(DHA)、発酵に関与するキノプロテイン・グリセロール脱永素酵素(GLDH)は,ソルボース発酵などその他多くの酸化発酵で機能している。このGLDHを中心にした酸化発酵系の呼暖鎖,酸化生成物の資化に関わる膜輸送・資化酵素系の解析を含めて,「酸化発酵」の分子機構を全般的に明らかにしようとしている。(1)Gluconobacter frateurii CHM43およびそめ高温適応育種株CHM43AD株はそれぞれ37℃および39℃でのソルボース発酵能を有しているが,CHM43株のGLDHは高温下でアポ化し不活性化されるが,CHM43AD株ではPQQ生成能が増加してGLDHのアポ化が防がれ,その安定性が維持されていることがわかった。また,GLDH発現量が他の酢酸菌より優位に高いことも明らかになった。(2)GLDHによって生成されるDHAの資化能を有する菌株(Gluconobacter thailandicus IFO3255)と資化能をもたない菌株(Gluconobacter oxydans 621H)が明らかになり,さらにIFO3255株から変異剤処理によってDHA資化能を失った変異株を複数分離した。(3)末端酸化酵素の1つシアン耐性オキシダーゼ(CIO)の精製とその機能解析が終わり,それがシトクロムbdと向じヘム組成をもつにも係らず酸素反応部位の構造が異なること,酸性側で機能すること,酸素に対する親和性が低いことが明らかになった。また,その人工膜小胞への再構成を行い,同時に行ったシトクロムbo3と異なり,エネルギー生成能が低いことがわかった。(4)酸化発酵に関与する新規キノプロテインの解析において,4-ケトアラボン酸を生成酵素が新規なキノプロテインであることを見いだすとともに,ゲノム解析を基づいてさらに多くのキノプロテインが存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調であるが、以下の2点での進展が遅れている。(1)キノプロティンGLDHの複雑な基質特異性を明らかにするためには、その構造解析ができると著しく展開できる。しかし、その結晶化がまだできていない。(2)次年度には始める予定ではあるが、酸化生成物の資化能を調べる一環で、膜輸送系の解析を予定しているが、まだ始められていない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)高発現でかつ安定性が高いGLDH生産菌が見つかったので、今後、その精製・結晶化を通じて、GLDHの構造解析を進める。 (2)DHA資化性変異株が取得できたので、膜輸送も含め、DHA代謝系の解析を早める。(3)末端オキシダーゼの精製と再構成に成功したので、酸化発酵呼吸鎖の解析がさらに進む予定である。(4)ゲノム情報が蓄積してきたので、新規なキノプロテイン、酸化発酵系の発見を期待して、解析を進める。
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