2011 Fiscal Year Annual Research Report
強力な抗癌活性と特異な化学構造を有する天然有機化合物の全合成と構造活性相関
Project/Area Number |
22380064
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑原 重文 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30170145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清田 洋正 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (30234397)
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Keywords | lupinacidin / aspergillide / rumphellaone / lactimidomycin / nigricanoside / cytotoxic / tumor cell invasion / macrolide |
Research Abstract |
マメ科植物の根粒に内生する放線菌が生産するアントラキノン型天然物であるlupinacidin C(癌細胞浸潤阻害活性)の全合成を達成することにより,全てのlupinacidin類の統一的合成法を確立した。シクロヘキサジエン誘導体と脱離基を持つベンゾキノン誘導体とのDiels-Alder反応,スルフェン酸及びエチレンの脱離を連続的に行ない,lupinacidin類の全炭素骨格を一気に構築する効率的合成経路を見出した。また,10種余の類縁体を合成し,構造活性相関を目的とした生物活性の評価を実施しているところである。癌細胞に対する細胞毒性を有する還元型ピラン環含有マクロリドであるaspergillide類については,プロリンを触媒として用いることで,テトラヒドロピラン環のシス-トランス異性化反応が円滑に進行することを見出し,aspergillide Cの全合成を達成するとともに,全てのaspergillide類の統一的全合成を完了した。また,極めて稀な4,5-seco-caryophyllane骨格を有する細胞毒性物質rumphellaone Aの初の全合成を,Sharpless不斉エポキシ化とStork型シクロブタン化を組み合わせることに達成した。現在,関連化合物の合成にも着手している。極めて強力な癌細胞浸潤阻害活性を有するlactimidomycinについては,不斉合成反応とビニロガス向山アルドール反応,Stilleカップリング,山口ラクトン化などにより,従来報告されている方法より短工程で効率的な形式全合成を達成するとともに,標的分子の全炭素骨格と立体化学を具備した化合物の調製まで到達した。極めて特異な化学構造を有する癌細胞増殖阻害活性物質であるnigricanoside Aのα鎖の調製にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の合成目標である抗癌作用を有する天然物のうち3種の全合成を完了するとともに,1種については形式全合成を達成した。また,nigricanoside Aについても部分構造の合成経路を確立し,各合成ユニットを連結する段階まで到達している。しかしながら,癌細胞浸潤阻害物質であるarchivemycinの全合成については,これまで見出されたことの無いN-Oラクトン構造部位の効率的な構築法を確立するに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
lupinacidin類及びその類縁体の生物活性評価の結果を待って,更なる構造活性相関研究のための合成研究を実施する。また,最近全合成を達成した癌細胞浸潤阻害活性物質BU4664Lについても,構造活性相関研究を実施する。 加えて,lactimidomycinの全合成の完成,archivemycinの合成ルートの開発推進,nigricanosideの立体化学決定に向けた合成化学的取り組みを行なう。更に,癌細胞増殖抑制物質pestaloquinol類についても,全合成の最終段階に有り,今年度中の完成を目指す。
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Research Products
(15 results)