2010 Fiscal Year Annual Research Report
アーバスキュラー菌根共生系における相互認識機構のケミカルバイオロジー
Project/Area Number |
22380069
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20285307)
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / Myc factor / ストリゴラクトン / リポキトオリゴ糖 |
Research Abstract |
AM菌の生産する共生シグナルであるMyc factorの検出を行った。Glomus intraradicesを天然ストリゴラクトン5-デオシキストリゴールあるいは合成アナログGR24を添加した液体培地で静置培養した。菌体を濾別し,菌体分泌物を含む培養濾液を得た。これをミヤコグサのAM共生誘導性のCbplpro : GUS, SbtMlpro : GUSプロモーター・レポーター融合遺伝子,およびイネのAM共生誘導性マーカー遺伝子AM1, 2, 3, 11について誘導活性を精査した。その結果,AM菌培養濾液はCbplpro : GUSアッセイにおいて活性を示したが,SbtMlpro : GUSやイネAM遺伝子の誘導活性は示さなかった。これと並行して,2011年1月にフランスのグループにより発表されたMyc factor候補物質であるリポキチンオリゴ糖の合成法の確立を行った。化学的手法のみによる簡便合成法としてキトサン4糖を出発原料として還元末端側の糖残基のアミノ基をまずP-アニスアルデヒドでシッフ塩基を形成させて保護し,続いて,DMT一MMを用いたN-アシル化の後,酸処理によりP-アニスアルデヒドを脱保護し,その後に残るアミノ基を完全N-アセチル化する方法を試した。しかしながら,本法では還元末端側の糖残基がN-アシル化されたリポキチンオリゴ糖しか得られないことがLC-MS-CID解析により明らかになった。よって次に,化学酵素法による合成法の確立を行った。すなわち,無細胞タンパク合成システムにより根粒菌のキチン脱アセチル化酵素であるNodBタンパクを生産し,これをキチン4糖に作用させることにより非還元末端糖残基のアセチル基のみが脱アセチル化されたモノ脱アセチルキチン4糖を調製した。これにDMT-MM法によるN-アシル化を行うことで目的とするリポキチンオリゴ糖を効率的に合成する手法を確立することができた。
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