2011 Fiscal Year Annual Research Report
アーバスキュラー菌根共生系における相互認識機構のケミカルバイオロジー
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22380069
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋山 康紀 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20285307)
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / Myc factor / ストリゴラクトン / リポキトオリゴ糖 |
Research Abstract |
フランスのグループによってMyc factorとしてAM菌から単離された硫酸化および非硫酸化Myc-LCOとそれらのアシル鎖改変誘導体(計14種)を出発原料としてキチン4糖を用いて化学酵素法により合成した。これらについて野生型ミヤコグサ実生根に対する共生マーカー遺伝子(SbtS,SbtM1,NIN,NSP2)発現誘導活性をqRT-PCRにより調べたところ、非硫酸化Myc-LCOおよびアシル鎖としてC16:1Δ11Z,C20:1Δ11Zを持つLCOが顕著な活性を示した。硫酸化Myc-LCOはほとんど全く活性を示さなかった。次に、強い活性を示した非硫酸化Myc-LCOについて、Nod factor受容体変異体であるnfr1,nfr5,nfr1/nfr5に対する共生マーカー遺伝子発現を調べたところ、ほとんど全く発現誘導は見られなかった。そこでnfr1,nfr5,nfr1/nfr5変異体についてAM菌の接種実験を行い、菌根形成を野生型と比較したところ、感染率および菌根表現型に全く差はなく異常は認められなかった。以上のことから、Myc-LCOによる共生応答の誘導はNod factor受容体を介して起こっており、Myc-LCOがMyc factorとして機能している可能性は極めて低いことが示唆された。AM菌Glomus intratadicesの菌体抽出物、培養濾液および菌体抽出残渣についてミヤコグサnfr1変異体根に対する共生マーカー遺伝子発現誘導活性を調べたところ、これら3つの試料すべてにおいて顕著な活性が見られ、AM菌がMyc-LCO以外の共生シグナル物質を生産していることが明らかになった。現在、本活性物質の精製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Myc-LCOの合成と共生マーカー遺伝子発現誘導活性の評価が年度計画通りに終了し、Myc-LCOがMyc factorである可能性が極めて低いことを明らかにすると共に、AM菌がMyc-LCOとは異なる共生シグナル物質を生産していることを見出した。最終年度はこの物質の同定を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
活性物質の精製では多くのサンプルについて活性を評価する必要がある。現在採用しているqRT-PCRでは労力がかかる上にスループットが悪く、研究推進上の律速となっている。本年度は、より簡便なレポーターアッセイを採用するなどしてアッセイ系を効率化し、研究の加速を図る。
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