2011 Fiscal Year Annual Research Report
食餌中Cdの化学形態がマウス体内Cdの動態と存在状態へ及ぼす影響
Project/Area Number |
22380073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉村 悦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10130303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 厚子 清泉女子大学, 付置研究所, 教授 (90157850)
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 助教 (60453586)
松永 俊朗 独立行政法人食品産業技術機構, 中央農業総合研究センター, チーム長 (20355647)
深見 元宏 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50114624)
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Keywords | カドミウム / コメ / マウス / 体内動態 |
Research Abstract |
イネをCdを含む土耕栽培で、1.7kgのCd含有米が得られた。この玄米を精米して白米を取得し、金属分析に供した。その結果、Cd含有米にはCd,3.9ppm;Zn,17.5ppm;Cu,2.9ppmを含むことが分かった。この値は、コントロール米の金属分析値、Cd,02ppm;Zn,11.1ppm;Cu1.1 ppmと比べるといずれも高い値を示したため、マウスへ食餌として与える場合にはこれらの影響を勘案する必要があることがわかった。 Cd米におけるCdの化学形態について、二つの手法で解析を行った。HPLC-ICP/MSによる分析のために、Cd結合物質の抽出条件を検討した。粉砕試料100mgに冷抽出液1000μLを加えて冷暗所で1昼夜放置し、可溶化したCd結合物質を、Cd濃度を指標として求めた。抽出液として、50mM Tris-HNO3(pH7.4)とこれに0,1%SDSを加えたものに関して検討した結果、前者では15%であった抽出率が、後者では45%と大幅な改善が認められた。この抽出液をHPLC-ICP/MSで分析した結果、高分子量画分にCd-114に基づくピークが4個確認された。また、Cd-キレータ特異的分析法の開発では、BCSを用いる方法からTPPを用いる方法へと変更を行った。これは、Cu(1)-BCS錯体が比較的酸化を受けやすく、そのコントロールに多大の労力を必要としたからである。Cd(II)-TPP錯体をポストカラム溶液として用いる方式では、簡便にCd結合物質の選択的定量ができるようになった。 マウスにおけるCd含有米を食餌とした実験では、Cd含有米において見られた他の金属濃度の上昇を考慮した食餌の作成を行い、実験を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Cd含有米の分析は順調に進んでいるが、大量のCd含有米の精米に手間取り、食餌作成が若干遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
Cdキレーターの分析に関しては、分析法の最適化が終了している。また、Cd含有米の抽出物によるHPLC-ICP-MS分析により、Cd結合物質の分子量が判明した。こんご、複数のクロマトグラフィーを組み合わせ、Cd結合物質の特定を行う。また、Cd含有米を食餌としたマウス臓器の分析と合わせて当初の目的であるCdの化学形態による毒性発現の差異を明らかにする。
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