2010 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス誘導によるケルセチンの活性化と多機能発現ダイナミクスの解明
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22380077
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺尾 純二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60093275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 慶親 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50380027)
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Keywords | 食品 / ストレス / 発現制御 / 分析科学 / シグナル伝達 / 潰瘍性大腸炎 / 筋萎縮 / フラボノイド |
Research Abstract |
ケルセチンは野菜果実に含まれる代表的なフラボノイド化合物であり、活性酸素消去作用や生体分子との結合を介して多彩な生理機能を発現すると考えられる。一方、食事由来ケルセチンの吸収代謝経路の解明が進み、その標的組織や標的分子が注目されている。生体内に移行蓄積するケルセチンは正常時においては代謝物として不活性な状態で存在し、ストレス下において活性化され生理機構を発揮するという仮説「ストレス誘導活性化仮説」をわれわれは提示した。そこでストレスを負荷した動物および培養細胞を用いて、「ストレス誘導活性化仮説」を証明するとともにケルセチンが生体内の標的部位において多彩な生理機能を発現するダイナミクスを解明することを本研究の目的とする。本年度はまずケルセチンを2週間摂取させたマウスの片肢を神経切除によりストレス負荷し、神経切除しない片肢との腓腹筋中ケルセチン代謝物蓄積量を比較した。その結果、ストレス負荷により代謝物蓄積量(とくにO-メチル化体)が有意に増加することが明らかになった。一方、2週間ルチン摂取マウスのデキストラン硫酸ナトリウム投与によるストレス負荷の場合、大腸粘膜における加水分解産物アグリコンおよび代謝物量はストレス負荷により減少する傾向があった。血漿濃度には有意な相違はなかった。以上の結果は、ストレス負荷により血流から標的部位への取り込みが亢進すること(腓腹筋)、消化管では反応部位において消費されること(大腸粘膜)を示唆する。血流から組織への取り込みには代謝物の脱抱合化が鍵となるが、多くの組織に脱抱合酵素であるβ-グルクロニダーゼが発現していることを確認した。
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Research Products
(6 results)