2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス誘導によるケルセチンの活性化と多機能発現ダイナミクスの解明
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22380077
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺尾 純二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60093275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 理恵 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90547978)
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Keywords | 食品 / ストレス / 発現制御 / 分析化学 / シグナル伝達 / 筋委縮 / β-グルクロニダーゼ / 炎症 |
Research Abstract |
ケルセチンは野菜果実に含まれる代表的なフラボノイド化合物であり、活性酸素消去作用や生体分子との結合を介して多彩な生理機能を発現すると考えられる。一方、食事由来ケルセチンの吸収代謝経路の解明が進み、その標的組織や標的分子が注目されている。生体内に移行蓄積するケルセチンは正常時においては代謝物として不活性な状態で存在し、ストレス下において活性化され生理機構を発揮するという仮説「ストレス誘導活性化仮説」をわれわれは提示した。そこでストレスを負荷した動物および培養細胞を用いて、「ストレス誘導活性化仮説」を証明するとともにケルセチンが生体内の標的部位において多彩な生理機能を発現するダイナミクスを解明することを本研究の目的とする。本年度はまずプレニル化ナリンゲニンを2週間摂取させたマウスの片肢を神経切除によりストレス負荷し、神経切除しない片肢との腓腹筋中アグリコン・代謝物蓄積量を比較した。その結果、ストレス負荷によりアグリコン・代謝物蓄積量が有意に増加する傾向がみとめられた。これは前年のケルセチンの場合と同様の結果であった。一方、マウスマクロファージはLPS刺激でβ-グルクロニダーゼを放出し、ケルセチン配糖体を速やかに脱抱合して細胞内に取り込むことが確認された。以上の結果は、ストレス負荷により血流から標的部位への取り込みが亢進すること、血流から組織への取り込みには代謝物の脱抱合化による脂溶性増強が鍵となるが、ストレスにより、マクロファージから放出されるβ-グルクロニダーゼが亢進することがみとめられた。すなわち、ストレス負荷により、βグルクロダーゼを介する脱抱合が起こって、組織への取り込みが増加すると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想どおりではあるが、ストレスに反応して生体側は脱抱合反応を惹起することにより、フラボノイドの細胞内への取り込みを上昇されることが示唆された。したがって、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、精神ストレスによる中枢神経系でのケルセチンの取り込みを検討している。脱抱合に関与すると考えられる中枢神経系マクロファージ細胞であるマイクログリア細胞の役割を今後検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Accumulation of orally administered quercetin in brain tissue and its antioxidative effects in rats2011
Author(s)
Ishisaka A, IchikawaS., Sakakibara H., Piskula M., Nakamura T., Kato Y., Ito M.,Miyamoto K., Tsuji A., Kawai Y., Terao J.
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Journal Title
ree Radicals Biology and Medicine
Volume: 51
Pages: 1329-1336
DOI
Peer Reviewed
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