2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奈良 一秀 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (60270899)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 菌根 / 物質循環 / 分解 / 土壌 |
Research Abstract |
森林に生育する樹木のほとんどの細根には菌根菌が共生し、樹木が必要とする養分のほとんどを菌根菌が供給している。一方、その代償として、樹木は光合成産物の約2割を菌根菌に供給している。このため、多くの光合成産物が菌根菌の菌糸や細根(菌根)などの地下部の生産に投資され、その多くが数ヶ月の間に脱落し、土壌中の分解生態系に供給されている。その総量は地上部の落葉を遥かに上回り、森林の炭素循環において主要な要素であるものの、地中の見えない部分で一連の生産と分解が行われるためその詳細な過程はほとんど分かっていない。菌根菌を含めた樹木細根系という大きなカーボンシンクの動態は、森林の物質循環だけでなく、地球規模の炭素動態を考える上でも明らかにしなければいけない課題であると考えられる。そこで本研究では、菌根や菌糸体がどのような微生物によって、どれくらいの速度で分解されるのかなど、樹木細根系の物質循環に関する重要な学術的知見を得ることを目的とする。 昨年度から、樹木の菌根をメッシュバッグにつめて森林土壌中に埋設し、その分解過程を追跡調査をおこなった。乾燥重量や養分含量、安定同位体比などの分析を行った。また、次世代シーケンサーを用いた分解微生物(菌、バクテリア)の種組成などを明らかにした。 調査の結果、葉の試料に比べて菌根試料の分解は遅く、モデルを用いた推定では95%分解までには約20年必要であることが示唆された。また、分解前の菌根菌の種類は分解速度や分解微生物に大きな影響を与えないことが明らかにされた。乾燥重量や炭素重量は分解に伴って減少したが、窒素重量は埋設前に比べてほとんどの試料で増加していた。一部の試料には窒素固定活性が見られたものの、多くのサンプルでは窒素固定活性が確認できなかったため、試料の分解に伴う窒素増加は、微生物の付着による持ち込み量が分解に伴う消失量を上回ったためであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)