2011 Fiscal Year Annual Research Report
広葉樹の病害心材形成機構に関する基礎的、応用的研究
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22380085
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 福壽 鳥取大学, 農学部, 教授 (60112322)
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Keywords | コナラ属 / ナラ枯れ / Raffaelea quercivora / 傷害心材 / エチレン / ジャスモン酸メチル / Aquilaria / 沈香 |
Research Abstract |
傷害心材形成に関与しているエチレン発生剤エスレル(ET)およびジャスモン酸メチル(MJ)をコナラ成木に処理することで、人為的な傷害心材形成の制御が可能かどうかを検討した。実験は2011年6月3、4日にコナラ成木にエスレル(Et)とジャスモン酸メチル(MJ)を組み合わせて処理するとともに6月20目に薬剤4処理区に対しナラ菌Raffaelea quercivoraを接種した。薬剤は地際から50cmの高さに処理し、ナラ菌は薬剤処理した3か所の真上10cmとその間3か所、計6か所に接種した。この結果、縦方向の変色長および変色体積の値は全体的にMJ菌処理とEt+MJ処理で有意に高い値を示した。中でもEt+MJの菌接種で最も大きな値となった。これに対し、苗木を用いた実験では、2011年8月17日~11月15日にかけ、コナラ属コナラ節のミズナラ、コナラ、カシワ、ナラガシワと、クヌギ節のアベマキの3年生ポット苗木を用いて、ナラ菌の樹幹接種、およびエチレン発生剤であるエスレル、およびジャスモン酸メチルのラノリンペースト注入処理を行い、傷害もしくは病理的心材形成におよぼす影響を比較検討した。この結果、病原菌の接種による病理的心材形成を確認するとともに、エスレルとジャスモン酸メチルの混合処理が、顕著な傷害心材形成をすることを認めた。特にMJ5%とEt1%の混合処理は著しい促進効果をもたすことが明らかとなった。さらにタイ王国においてAquilaria属樹種を用いた沈香生産の促進実験を行い、MJ、Et、およびサリチル酸ナトリウムの組み合わせ処理によって顕著な沈香成分を含む傷害心材形成の促進効果を得た。この結果については特許を申請し、受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データも順調に採取し、論文1報を報告。学会1報発表。特許一件を出願した。さらにこの研究で博士課程学生の学位を取得させた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに傷害心材形成のメカニズムについてより精度の高い実験を行い、ナラ枯れ機構の核心部分を明らかにしたい。さらに応用面でも実用的な沈香生産に向けての研究を展開する。
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Research Products
(3 results)