2010 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース配向テンプレート上での三次元バイオミミックファブリケーション
Project/Area Number |
22380097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 哲男 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30202071)
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Keywords | セルロース / テンプレート / バイオファブリケーション / ヒドロキシアパタイト |
Research Abstract |
本課題は、ボトムアップ型で、低エネルギー消費での構造形成を可能とする三次元バイオミミックファブリケーションの構築と展開を目指している。まず、骨の形成をイメージしたバイオミミックメネラリゼーションを試みた。骨の形成プロセスでは、配向性を有する足場とリン酸イオン供給源が必要不可欠であるため、他物質の配向を誘発する機能とイオン供給機能を併せ持ったセルロース由来のテンプレートの創製を試みた。次いで、この有機基板を足場とした配向性を有する無機物・リン酸カルシウム構造体の形成を以下のように検討した。 代表者独自の水膨潤セルロースゲルを調製し^<1)>、pH7.5のリン酸緩衝生理食塩水(PBS(-))に含浸した後、一軸方向に2倍延伸して、リン酸イオン含有ネマティックオーダーセルロース(p-NOC)を得た。次に、p-NOCを25℃でpH7.5のカルシウム緩衝液に浸漬させることによりリン酸カルシウムを合成した。p-NOC表面上の形態観察には走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、元素組成分析には、エネルギー分散型X線分析装置(EDXA)を用いた。また、X線回折強度(XRD)よりリン酸カルシウムの結晶性を検討した。その結果、カルシウム緩衝液に1分浸漬後のp-NOC表面のSEM観察像は、p-NOCの配向方向に沿った約0.2μm間隔の縞状構造体の形成を示唆した。また、EDXAにより、この構造体がリン酸カルシウムであり、さらにXRDにより非晶質であることが示された。 以上の結果は、p-NOC表面の一軸配向したセルロース分子鎖の間から溶出したリン酸イオンがカルシウムイオンと反応することにより、非結晶のリン酸カルシウムが縞状に形成されたことを示唆した。すなわち、p-NOCが配向性を有するリン酸カルシウムを構築させるバイオミミックミネラリゼーションの足場となり得ることが示された。1)T.Kondo, et al., Biomacromolecules, 2, 1324 (2001)
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Research Products
(7 results)