2011 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース配向テンプレート上での三次元バイオミミックファブリケーション
Project/Area Number |
22380097
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 哲男 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30202071)
|
Keywords | セルロース / テンプレート / バイオファブリケーション / ヒドロキシアパタイト |
Research Abstract |
自然界において生物は、有機物から成る「足場」上に有機物や無機物を堆積させることにより、有機/有機や有機/無機複合体を低エネルギー消費で構築する。とくに有機/無機の機構はバイオミネラリゼーションと呼ばれ、貝殻や骨の形成が典型的な例であるが、いずれも低エネルギー型の材料形成プロセスである。このプロセスでは、パターンを有する足場やイオン供給源として働く有機物の機能により、堆積する物質の形態が制御される。 本課題では、植物細胞壁の構成成分で、OH基由来の親水部とCH基由来の疎水部とを有する両親媒性の天然高分子であるセルロースを用いて足場テンプレートとして用いて、その上に上記の生物システムを模倣した「三次元のバイオミミックファブリケーション」を行おうとするものである。そのため、本年度は、研究代表者らが以前に開発した、水に膨潤したセルロースゲルを一軸方向に延伸して得られるネマチックオーダーセルロース(NOC, nematic ordered cellulose)基板からの新規足場を設計した。すなわち、このアニオン性表面をもつ基板中の分子間に、強制的にリン酸アニオンをホスト-イオンとして包接・固定化させた。次にこれを足場として、カルシウムイオンとのホスト-ゲスト反応により、骨の主成分であるリン酸カルシウムのバイオミネラリゼーションを促すという新たなプロセスをデザインした。同時に、そのアニオン性極表面に正のカルシウムカチオンを固定させ、ゲスト-リン酸アニオンと反応させるという対照的なプロセスも検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究の主目的であった機能性セルロース配向基板を設計・創製し、その上で骨の主成分であるリン酸カルシウムのバイオミミックミネラリゼーションに成功し、しかも、その堆積した無機物のパターン成長化にも成功した(以下の論文掲載済み)ことにより、研究の進展が大きく進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、上記の機能性セルロース配向基板上でのリン酸カルシウムのバイオミミックミネラリゼーション、ならびに、その堆積した無機物のパターン成長化のプロセスの詳細を検討する。また、別の物質(例えば光触媒の酸化チタンなど)のパターン化バイオミミックミネラリゼーションを試みる。同時に、機能性セルロース配向基板上で細胞などの有機物の「三次元のバイオミミックファブリケーション」を試みる。そのために、バイオミネラリゼーションとは異なる機能性セルロース配向基板を設計することから始める。
|
Research Products
(5 results)