2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380099
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
大村 和香子 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (00343806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 実 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (50353660)
片岡 厚 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, チーム長 (80353639)
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Keywords | シロアリ / 視覚特性 / 走光性 / 階級 / 複眼 |
Research Abstract |
本研究の目的はシロアリの各階級において、誘引・忌避を効果的に生じる波長および照度を明らかにするとともに、各階級の光受容サイトを複眼の発達と併せて確認し、シロアリの視覚特性を解明することである。初年度である22年度は光受容部位の特定のため、低真空走査電子顕微鏡を用いて複眼の外部形態を観察した。さらにヤマトシロアリの擬職蟻、兵蟻別に走光性の波長および照度依存性を検討し、ヤマトシロアリと同様、日本における主要な木材加害種であるイエシロアリの走光性の波長および照度依存性と比較した。 複眼の外部形態を観察した結果、老齢のネバダオオシロアリ擬職蟻では、複眼の明瞭な発達が認められ、次年度予定している複眼の視細胞レベルでの分光感度の測定が可能であることが示された。さらにヤマトシロアリの走光性の波長および照度依存性を検討したところ、擬職蟻は短波長ほど負の走光性を示し、その傾向が紫外域(350~400nm)で特に顕著であった。イエシロアリ職蟻は400~450nmの紫~青の可視光域ですでに顕著な負の走光性を示したことから、シロアリの種類による走光性の波長依存性の違いの事例が示された。またヤマトシロアリ、イエシロアリ両種とも長波長の可視光(赤色光)には反応しないことが明らかになり、他の多くの昆虫と同様の傾向を示した。ヤマトシロアリ擬職蟻には将来的に生殖虫となる複眼の発達が顕著なnymph typeと、複眼が未発達なworker typeとが混在しており、両系統で走光性が異なることが考えられる。次年度は、「個」の走光性に関しても検討する予定である。
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Research Products
(3 results)