2010 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の性分化過程と生殖機能の遺伝的・環境的制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
22380109
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
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Keywords | 生理 / 生殖 / 魚類 / 性分化 / 温度 |
Research Abstract |
本研究では、魚類の性分化過程と生殖機能の遺伝的・環境的制御の分子生物学・生化学・生理学的背景の解明を目標としている。温度に対する性分化・生殖機能関連遺伝子の発現動態とその調節については、まず、温度依存型性決定を示すペヘレイOdontesthes bonariensisにおける生殖腺刺激ホルモン(FSH・LH)の受容体遺伝子のクローニングと構造解析および雌誘発温度、性的中立温度と雄誘発温度での性分化における発現量を測定し、精巣分化には低レベルのFshとLhβサブユニット遺伝子の発現と高レベルのLh受容体遺伝子の発現が関与していると判明した。また、本種のcyp11a1とcyp11b1遺伝子のクローニングと構造解析および性分化時期における発現量を測定し、精巣分化(dmrt1, amh, sox9, nr5a1, sf-1)のと卵巣分化(cyp19a1a)の関連のマーカー遺伝子の発現量と照らし合わせた結果、雄誘発温度ではcyp11b1の発現が高く、精巣分化に重要な役割を担うことが示唆された。さらに、遺伝型・温度依存型性決定および高温感受性関連遺伝子の探索について、異なる水温でのペヘレイ仔魚のDNAマイクロアレイ解析を行った結果、多数の候補遺伝子を同定し、発現解析では特にndrg3、pen-とhsp90遺伝子は性分化との関連性が示唆された。なお、温度依存型性決定を持つペヘレイとは対照的に遺伝的性決定を持つ同族のパタゴニアペヘレイO.hatcheriとの交雑種における性分化過程の組織学的プロセスおよび水温の影響を明らかにした。メダカOryzias latipesについては、生殖細胞の高温感受性ならびに突然変異の発生率を左右するY型DNAポリメラーゼの一種であるRev1遺伝子のクローニングと構造解析し、リアルタイムPCR法により高温ストレス下個体の生殖腺における本遺伝子の発現が優位に上昇することを見出した。また、メダカの成魚を1~6週間36~38℃下で高温曝露し、組織学的解析および生殖細胞特有のVasa遺伝子の発現解析を行った結果、生殖腺は1週間より退行変性し、4~6週間で生殖細胞の数が著しく減少することが判明した。
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[Journal Article] Analysis of sexually dimorphic expression of genes at early gonadogenesis ofpejerrey Odontesthes bonariensis using a heterologous microarray2011
Author(s)
J.I.Fernandino, J.T.Popesku, B.Paul-Prasanth, H.Xiong, R.S.Hattori, M.Oura, CA Strussmann, G.M.Somoza, M.Matsuda, Y.Nagahama, VL.Trudeau
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Journal Title
Sexual Development
Volume: 5
Pages: 89-101
Peer Reviewed
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