2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
落合 芳博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (50160891)
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Keywords | ミオグロビン / 一次構造 / 立体構造 / 分子進化 / 系統解析 / 構造安定性 / 分子動力学 |
Research Abstract |
マアジ、ブリ、カンパチ、ヒラマサ、ニジマスおよびマダイの血合筋から全RNAを抽出し、ミオグロビン遺伝子のcDNAクローニングにより一次構造を演繹し、系統解析を行った。その結果、アジ科魚類のものは1つのクレードを形成すること、ニジマスのものはCys残基の存在や欠損がある点で特徴的な構造を有することなどが判明した。一方、無脊椎動物のヤリイカおよびアワビについてもミオグロビン遺伝子の探索を行い、アワビの諸組織でミオグロビンの存在を認めた。ニジマスおよびアワビについてはさらに、ミオグロビン遺伝子の組織別発現状態について検討を行ない、組織特異的な転写レベルの違いを見出したほか、非筋組織においてもミオグロビン遺伝子の転写が行なわれていることが明らかにされた。 一方、タンパク質レベルの発現が高いクロマグロおよびイワシクジラについては、各々の骨格筋からカラムクロマトグラフィーの組み合わせによりミオグロビンを精製し、円二色測定および示差走査熱量分析により熱安定性の比較を行なった。その結果、両ミオグロビンにおける構造変化のパターンに明確な差を見出し、前者の不安定性が詳細に明らかとなった。マグロ・ミオグロビン分子内における構造安定性の差については、各領域のアミノ酸配列をもつペプチドを合成し、昇温時におけるヘリックス含量の減少程度から、安定性はカルボキシ末端付近で高く、中央部付近で低いことが示唆された。 最後に、マグロ・ミオグロビンの構造情報に基づいて分子動力学シミュレーションを100ナノ秒間行い、構造柔軟性を調べたところ構造のゆらぎがとても大きいことがわかり、この大きさが本タンパク質の低い熱安定性の原因と考えられた。
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Research Products
(7 results)