2012 Fiscal Year Annual Research Report
コベネフィット政策に向けた日中共同実証研究―有機性廃棄物循環と水質汚染防止-
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22380121
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢部 光保 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20356299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宗浩 佐賀大学, 農学部, 准教授 (50295028)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | メタン発酵消化液 / 水質汚染 / 有機液肥 / 社会技術 / LCA / 環境影響評価 / CDM / 温室効果ガス |
Research Abstract |
中国江蘇省金壇市で、3年目の水稲液肥実証栽培を実施した。対象養豚場は27,500頭を飼養、消化液量は42,568t/年と推計される。液肥の散布方法は、パイプラインで搬送し、圃場の直前で灌漑水と混合しながら圃場へ流し込む。その結果、液肥使用量は18,000t、2012年度の水稲収量は9870kg/ha(玄米)を示し、現地政府の収量目標と同レベルであり、液肥利用技術は現地農家にも定着することができたと考えられる。また、本実証試験により16tの窒素成分の化学肥料を削減し、廃棄物投機による環境汚染を低減させた。 養豚場の温室効果ガス(GHG)削減効果については、京都議定書CDMプロジェクトAMS-III.D. ver.18の計測方法を用い、メタン発酵装置導入前の「オープンラグーンでの家畜糞尿貯蔵状態」排出量21,505tCO2e/年と「消化液とメタンガスが有効利用状態」排出量9,410tCO2e/年の差、12,095tCO2e/年と推計された。 経済的側面では、養豚場が消化液を水稲作のみ使用したでも、養豚業収入の0.74~1.2%を液肥供給費用に補填すれば、現行飼養頭数を維持して全量利用できることが明らかになった。農家調査からは、1元=15.7円のとき対象農家の水稲作で2、284円/10a、麦作で4,216円/10aの肥料代が節減できていた。 地域環境効果としては、同市に年間出荷頭数5,000頭以上の養豚場が6カ所あり、合計13万頭、消化液は112,000トン/年と推計される。そこで、人工衛星画像から水田分布を抽出し、散布可能性を評価したところ、養豚場から半径2km以内で消化液は全量使用でき、養豚場由来の環境負荷を水稲作で削減できることが明らかになった。以上から、メタン発酵消化液の有効利用により、地域の環境と経済、農家と養豚場にコベネフィットな関係が構築できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(23 results)