2011 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地灌漑農地における塩類化リスク地域の同定と持続的最適用水配分
Project/Area Number |
22380129
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤江 剛夫 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (10123423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 秀則 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (60239663)
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Keywords | 乾燥地 / 灌漑 / 塩分集積 / 衛星画像 / 蒸発量 / 地表面温度 / 最適用水配分 |
Research Abstract |
本研究では、乾燥地灌漑農地における塩分集積発生位置を精度良く同定し、発生要因を分析して持続性に寄与する対応策を検討することを目的とする。具体的目標としては、(1)地表面温度から蒸発量を計算するモデル(MSTモデル)を作成し、衛星画像による地表面温度データ分布から広域蒸発量を推定する。これにより、塩類化リスク地域を同定する。(2)GISデータを用いて塩類化要因を分析し、用排水システム管理の改善策を提案する。(3)灌漑水の移動経路と蒸発による消費を組み込んだ精度の高い最適用排水配分計画を策定する。研究目的を達成するため、下記の通り平成23年度の研究を実施した。 代表者と分担者は、現地の研究協力組織と共同して用排路水と地下水の組織的な採水を行い、陽イオン組成を分析するとともに、土壌塩分濃度と作物生育状況の空間的分布を河套灌区全域で把握した。 (1)代表者は、昨年度開発した対照地と測定地の地表面温度差から測定地の蒸発量を推定する方法(MSTモデル)を野外土壌カラム試験に適用し、土性、含水比、含塩量の異なる土壌からの実測蒸発量とMSTモデルで予測した結果と比較した。その結果、岡山大学および河套灌区での野外測定のいずれにおいても比較的高い水分条件における蒸発量が、MSTモデルにより精度良く推定できることを確かめた。MODIS画像から計算した地表面温度分布にMSTモデルを適用して、河套灌区全域の蒸発量分布を計算した。 (2)分担者は、Land Sat衛星画像から求めたNDVIおよびNDWIの平均値と分散を用いて、河套灌区の土地被覆状況を推定する方法を開発し、ほぼ妥当な結果が得られることを確かめた。また、GISデータと塩類化地域分布を分析し、塩分集積発生要因を検討した。 (3)代表者は、得られた蒸発量を新たな制約条件として組み込んだ最適用排水配分計画を試算し、求解可能であることを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発したモデルにより広域蒸発量が合理的に推定できることが確かめられた。また、衛星画像から土地被覆状況を推定する方法がほぼ確立できた。さらに、蒸発量を制約条件に入れた最適用水配分計画の解が得られた。これらから、最終的な目的である持続的な用排水システムの改善策を提案する基礎的なツールが出来上がった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したとおり、23年度までに基礎的なツールが完成したので、24年度は各ツールの精度を高める改良を行いつつ、持続的な用排水システムへの提言策を検討する。
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Research Products
(7 results)