2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380130
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石黒 宗秀 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (00294439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸泉 利嗣 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (60230174)
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Keywords | 両親媒性汚染物質 / 土壌浄化 / アニオン界面活性剤 / 多腐植質火山灰土 / 協同吸着 / 分解 / 移動 / 疎水性相互作用 |
Research Abstract |
洗剤,シャンプー等の両親媒性物質(水にも油にも溶ける物質=界面活性剤)は,最も多量に水環境中に排出される人工化学物質である。生体細胞を破壊し生態系を破壊する汚染物質であるため,高度下水処理浄化される。しかし,農村部では十分な処理が行われていない。両親媒性物質は,有機物であるため,土壌での分解浄化が大いに期待される。一方,両親媒性物質は,有機物質で汚染された土壌の洗浄剤として有望である。しかし,両親媒性物質の土壌中における基本的挙動は,全く解明されていない。本研究では,土壌との吸着反応や,土壌中での分解反応,移動現象を実験・数値シミュレーションと理論から明らかにし,その土壌浄化法及び有機汚染土壌浄化技術の確立を目指す。本年度は、アニオン界面活性剤を用いて、疎水基を多量に含み、疎水性相互作用で吸着すると考えられる、多腐植質火山灰土への吸着実験を主に、移動実験も行った。実験により、次のことが明らかになった。 1.用いた多腐植質火山灰土は、負荷電を持ち正荷電を持たないため、アニオン界面活性剤との間に静電気反発力が働くが、疎水性相互作用により吸着する。 2.界面活性剤低濃度領域で、界面活性剤が協同吸着を示すことを、土壌との相互作用において初めて明らかにした。 3.界面活性剤との吸着反応は、3時間後も24時間後も相違がほとんど見られないことから、その時間では分解反応が進まず、3時間以内に平衡に達した。 4.pHが高くなるに従って、吸着量が減少した。これは、pHが高くなるほど土壌の負荷電が増加し、界面活性剤との間の静電気反発力が増したためである。 5.炭素鎖が分枝状と直鎖状の界面活性剤を比較したところ、形状の効果により直鎖状界面居性剤の吸着量が大きくなった。 6.界面活性剤浸透実験結果は、吸着実験結果を反映するものであった。
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