2012 Fiscal Year Annual Research Report
気候変化が地域農業用淡水資源としての湖水環境に及ぼす影響評価
Project/Area Number |
22380132
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
籾井 和朗 鹿児島大学, 農学部, 教授 (40136536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 祐二 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 研究員 (60526911)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 水資源 / 溶存酸素 / 現地観測 / 数理モデル / 全循環 / 湖水温 / 安定度 |
Research Abstract |
本研究では,農業用水資源としての池田湖の水温と溶存酸素(DO)の時空間変化に及ぼす気候変化の影響について,水温,DO,気象の観測資料に基づいて検討を加え,さらに数理モデルにより水温とDO動態について考察した。 まず,研究開始初年度(2011年2月)に,湖水の全循環が,25年ぶりに観測されたため,最終年度も引き続き,水温とDOの変化を11月から3月末まで,水深1, 10, 15, 30, 50, 60 mにおいて,1時間間隔で連続観測した。この短期集中観測データは,今後の数理モデルの精緻化や池田湖固有のパラメータ同定に活用できる貴重な観測資料となる。次に,鉛直1次元モデルにより,全循環の生じない時期(2004年)のDO濃度分布は比較的よく再現できた。全循環が生じた場合(2011年)では,表層-底層間の密度逆転の判別をモデルに組み込み,その場合に渦動拡散係数を大きくすることで,全循環過程を概ね再現できることを確認した。また,本モデルによれば,表層では光合成と鉛直混合,中層では鉛直混合,呼吸,BOD,及び深層ではBODが,DOの濃度変化に影響を及ぼす要因といえる。今後,観測データに基づいて,数値計算精度の向上が必要である。気候変化との関係を評価するために,1981年~2011年までの水温解析を行った。1980年代後半の気温の上昇は,湖水安定度指標から判断すると,湖水の安定性を増大させ,その結果,全循環の喪失,さらに1990年以降の21年間の深層無酸素化を引きおこしたと推察される。 以上の研究成果は,水文学に関する国際会議(フィンランド,2012年8月)で発表し,また湖水管理に関わる行政等(鹿児島県池田湖低層水質改善方策検討会,2012年12月;農林水産省農村工学研究所農工研気候変動定例研究会,2013年2月)に対しても情報発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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