2011 Fiscal Year Annual Research Report
生態系配慮施設が持つリスクを軽減する維持管理手法の開発
Project/Area Number |
22380133
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
森 淳 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・資源循環工学研究領域, 上席研究員 (10414418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出水 規行 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・資源循環工学研究領域, 主任研究員 (60301222)
嶺田 拓也 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・農村基盤研究領域, 主任研究員 (70360386)
田村 孝浩 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20341729)
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Keywords | 生態系配慮 / 安定同位体比 / DNA / 植物群落 / 維持管理 / 生態系の遷移 |
Research Abstract |
複数の水路横断面のうち,陸化に至っていない湿地など多様な環境を含む横断面は,遷移が進まない均質な水路横断面や,遷移が進んだ横断面より水生動物の多様度指数が大きかった。生態系配慮型水路では,悉皆的な土砂上げ,草刈りをする場合,逆に管理できず遷移が進む場合は種多様性が小さいと考えられる。物理的・生物的環境が複雑な横断面で採取されたユスリカの炭素安定同位体比の標準偏差は大きく,評価指標の一つとなり得ることが示された。 圃場整備による維持管理労力の節減効果を明らかにするための基礎として,圃場整備前の畦畔における除草作業の定量化と,その規定要因について考察を行った。その結果,畦畔の除草作業は中・重労作に該当し,その規定要因として作業時の熱環境や作業方法,植生長等が関係していることを明らかにした。また除草作業時の立ち位置や姿勢,植生の種類なども身体に負担をかける要因と考えられた。 岩手県奥州市の環境配慮型の施工を行った原川排水路の浚渫後の土砂の堆積状況や植生遷移について,屋外用の監視計測システム(FieldServer)を用いて画像や水位のモニタリングを行ったところ,7月の草刈り後,1ヶ月でヨシなどのイネ科草本の草勢が回復し,9月中旬にピークとなることが把握できた。また,水位は降雨量が増える8月から増加する傾向を示し,11月下旬以降に急激に低下した。 農業水路における魚類の遺伝的多型と注目すべき遺伝的グループについて検討した.いさわ南部の原川と白鳥川を対象にドジョウのミトコンドリアDNAを解析した結果,両河川の個体から9ハプロタイプが特定され,これらはロシア系と在来系の遺伝子グループに属した.各河川のハプロタイプ数に差はないが,遺伝的特徴(注目すべきグループ)を反映するタイプが出現し,これらは原川では区間的,白鳥川では部分的に分布した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農業水利施設における生態系配慮施設において,生態系の遷移が生物多様性を減じる可能性があること,比較的短い水路区間内に注目すべき遺伝的特徴を持つグループが存在することが判明した。これらは生態系配慮施設が生物多様性に対するリスクを有する可能性があるという,当初の想定を裏付ける結果であり,維持管理に関するデータの蓄積・解析も進んでいる。 以上から,予定通り最終年度にリスクを軽減する維持管理手法の検討を行える段階に達している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの成果を踏まえ,生態系配慮施設が有するリスクの総合的な評価および生態系の健全性の時空間的評価を行い,リスクを軽減し健全な生態系を持続させる管理手法を立案する。
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Research Products
(8 results)