2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛糞尿資源の安全性確保のためのメタン発酵プロセスの機能拡張
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22380134
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
梅津 一孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (20203581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 正徳 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00205303)
井原 一高 神戸大学, 農学研究科, 助教 (50396256)
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Keywords | 乳牛糞尿 / 病原性微生物 / メタン発酵 / 薬剤耐性菌 |
Research Abstract |
本研究の目的は,メタン発酵の複合的機能強化により,リスクが高い病原性微生物もしくは薬剤耐性菌が残留する乳牛糞尿の管理手法を確立することである。本年度は,1.フルスケールバイオガスプラントを用いた高温・中温メタン発酵による病原性微生物の消長,2.中温メタン発酵による抗生物質耐性菌の不活化,3.電解酸化法によるメタン発酵消化液に残留する抗生物質耐性菌の死活化について検討を行った。フルスケールバイオガスプラントによる試験では,特に55℃の高温発酵によって,大腸菌数および腸球菌数の減少傾向が観察され,中温発酵とは異なる傾向であった。高温メタン発酵は乳牛糞尿に残留するこれらの病原性微生物のリスク低減に効果があることが明らかになった。乳牛糞尿に残留する抗生物質耐性菌を対象とし,ラボスケールの中温メタン発酵(37℃)による減少効果を検討したところ,オキシテトラサイクリン耐性菌をはじめとする数種類の抗生物質耐性菌は有意に菌数が減少し,発酵日数と減少効果には関係があることが示唆された。特定の抗生物質耐性菌については減少効果が低く,一定期間の中温メタン発酵後の消化液に多く残留していたことから,電解酸化法による不活化を試みた。一部を除き電気化学反応により抗生物質耐性菌の菌数は大きく減少した。しかしその効果は一様ではなく、供試試料や抗生物質の種類、家畜への投薬条件によりその効果が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病原性微生物についてはフルスケールバイオガスプラントにおいてもその効果が明らかとなり,現場に直接応用できる知見と考えられる。抗生物質耐性菌についても学術的に興味深いデータが収集できている。
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Strategy for Future Research Activity |
特に抗生物質耐性菌について,より実効性のある管理手法を確立する必要がある。そこで,PCR-DGGE法による菌叢解析を実施し,シーケンス解析により菌種を特定するとともに、特異的なプライマーを設定したPCR法によって耐性菌の動態を詳細に解析する予定である。また,メタン発酵では対応できない可能性のある特定の抗生物質耐性菌について対象を絞り,電解酸化法による物理化学的な死活化手法について検討を行う。
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Research Products
(5 results)