2011 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞選抜の分子機構に基づく家畜卵子の品質判定法の創出
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22380148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞鍋 昇 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80243070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 隆 神戸大学, 農学研究科, 教授 (80200195)
奥田 潔 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40177168)
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Keywords | 卵子品質 / 卵胞閉鎖 / 細胞死阻害因子 / 顆粒層細胞 / アポトーシス / 哺乳類 / 卵巣 / 発現制御 |
Research Abstract |
20世紀末から今世紀にかけて様々な家畜の発生工学・遺伝子工学技術が編み出され、体細胞核クローン動物や遺伝子改変動物などが作出されてきている。しかしながらこれらの成功率は未だに低い。その原因のひとつとして、供する卵子(卵母細胞)の品質が低いことが挙げられる。しかし卵子品質評価を分子レベルで評価しようとした研究は未だに皆無である。哺乳類では、胎児期に減数分裂の途中、複糸期の状態で休眠している卵子が、性成熟後、性周期毎に分裂を再開して発育・成熟する。この過程で99%以上が選択的に死滅し、不都合な卵子が取除かれる機構が備えられている。本研究では、これまで申請者らが継続してきた選択的卵子死滅の分子制御機構の解明研究の成果を活用し、死滅すべき卵子を判定し、排卵にいたる高品質卵子のみを動物発生工学や生殖医療に供し得る技術システムを創出しようとしている。今年度は、前年度に続いて顆粒層細胞におけるアポトーシス・シグナルの阻害因子の発現を指標にすれば卵子の健常度を見極めることができるか否か検討をすすめた。特に、個々の卵胞を分別して卵子の正常性、体外授精後の初期胚の発生の正常性、卵胞液の性状およびこれらと同じ卵胞内の顆粒層細胞における阻害因子の発現レベルとの関連性の精査した結果、高い相関性があることが確認できた。併せて、阻害因子発現を調節している因子の探索とその分子制御機構を調べ、インターロイキン6が重要な司令塔的な役割を果たしていることを見出した。同時に簡便かつ高感度な判定システムの開発と凍結保存・異種移植・遺伝子導入・卵子の体外成熟と体外受精および初期胚の体外培養からなるシステムの統合を進めて、本研究で見出した知見を実際の家畜増産に活用できる方策の具現化をすすめることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年3月11日に研究室所在地の笠間市では震度6強を5分間以上の震災を経験し、これによって多くの研究設備・機器が破損したり修理を要する状況になったために研究の進展は遅れたが、卵胞の選択的死滅を調節しているアポトーシス阻害因子の発現推移を詳細にしらべ、それの制御においてインターロイキン6が重要な司令塔的な役割を果たしていることを見出し、論文投稿の準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
震災に起因する研究進展の遅滞を除けば概ね順調に進捗している。また破損したり修理を要する研究設備・機器の新調や修繕を終えることができたので、研究計画調書に記載した年次計画に従って粛々と遂行して、当初の目標を達成する。
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Research Products
(54 results)
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[Journal Article] 福島第一原子力発電所事故後の茨城県産牧草を給与した牛の乳における放射性核種物質濃度2012
Author(s)
橋本健, 田野井慶太朗, 桜井健太, 飯本武志, 野川憲夫, 桧垣正吾, 小坂尚樹, 高橋友継, 榎本百合子, 小野山一郎, 李俊佑, 眞鍋昇, 中西友子
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Journal Title
Radioisotopes
Volume: 60
Pages: 335-338
Peer Reviewed
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