2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ卵の遠心・融合再構築法による生殖工学基盤・応用技術の確立
Project/Area Number |
22380153
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
菊地 和弘 独立行政法人農業生物資源研究所, 動物発生分化研究ユニット, 上級研究員 (20360456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90298232)
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Keywords | 応用動物 / 発生分化 / 発生工学 / 細胞操作 / 受精 |
Research Abstract |
研究実施計画に従い、本年度は以下の2点について検討を行った。1)細胞質小片を成熟度の劣る卵(卵丘細胞を24時間で除去して成熟させた卵)に添加すると正常受精ならびに胚盤胞発生率が改善されることが明らかとなった。細胞質小片には透明および褐色小片が含まれ、その特性について解析した。まず、ミトトラッカーレッドにより活性型ミトコンドリアを標識しレーザー共焦点顕微鏡による観察、あるいは透過型電子顕微鏡観察によりミトコンドリア等の細胞内小器官の分布量を確認したところ、透明および褐色小片はそれぞれ第1回目の遠処理卵の中層ならびに下層より由来し、両者の間にはミトコンドリア分布量に差がある(褐色小片>透明小片)ものの、ATP含有量に差がないことが明らかとなった。これらの小片を別個に卵に融合し受精能・胚発生能を確認する実験を現在行っている。これにより、ミトコンドリア分布量の違いにより小片を分け、発生能が異なると期待される再構築卵を作製し、受精・発生現象を解析するとともに、より高い発生能を有する小片を卵に融合し、発生能を付与する手法を開発する。また、2)多精子受精回避技術の確立として、体外受精後の卵を遠心処理し、卵細胞質に侵入した精子を含む小片と含まない小片を分別し、それらを再構築することで単精子受精卵を作製する手法を開発することを目的とした実験を行った。まず、精子を含む小片と含まない小片を分別できた。いずれも未受精卵に融合すると前核が形成され、小片には卵活性化能を有することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞質小片を添加することで受精・発生能の改善を行うことができた。またミトコンドリア分布量を指標にした小片の分別法を確立し発生能の確認を行っている。また、受精卵の細胞質小片には卵活性化能を有することを明らかにした。この内容は交付申請書に記載した予定にそって順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実験を行った実験結果のとりまとめを行い、論文発表を行う。交付申請書にしたがい、再構築卵の超低温保存技術の開発を行う。具体的には、再構築により脂肪滴の含まれない再構築成熟卵や胚を作出し、その後に凍結・融解する。この方法により生存率や発生率等が向上する可能性が高いので、ガラス化冷却条件を検討し、新たなブタ胚の超低温保存技術を開発する。
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