2010 Fiscal Year Annual Research Report
共生微生物によるベクター媒介性病原体応答制御の分子機構
Project/Area Number |
22380155
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福本 晋也 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 講師 (50376422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 正徳 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00205303)
嘉糠 洋陸 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (50342770)
|
Keywords | マラリア / ハマダラカ / 腸内細菌 / セラチア |
Research Abstract |
本研究は節足動物媒介性感染症の病原体とベクターに着目し、ベクターとその体内における共生微生物、病原体の三者間の相互作用を包括的に解明しようとするものである。蚊・ダニなどに代表されるベクターの中腸は病原体の最初の侵入門戸であり、その内部環境は感染の成立に対して重要な影響を与えるものと推測される。ベクター中腸内における生物学的環境の主要構成因子として、腸内細菌叢が知られている。本研究では、腸内細菌叢と病原体の間には何らかの生物学的関係が存在するものと仮説を立て、病原体伝播成立における媒介ベクターの腸内細菌の意義を明らかにすることを目的としている。申請者らのこれまでの研究から、セラチアHB3株によってハマダラカ中腸の自然免疫経路が活性化され、マラリア原虫の分化・増殖の抑制が起きていることが推測され、感染の成立に対する腸内細菌の関与が示唆された。この仮説の検証を中心として、各種節足動物媒介感染症の、病原体伝播におけるベクター腸内細菌の意義を明らかにするため以下のように研究を実施した。 1.セラチアによるマラリア原虫排除・分化抑制ポイントの時空間的解析を行った。その結果、マラリア原虫ベクターステージにおける、オーカイネート中腸侵入ステージが、セラチアによるマラリア原虫排除ポイントであることが明らかとなった。 2.セラチア誘導性ハマダラカ抗マラリア原虫応答システムの解析を行った。その結果、セラチアによる蚊自然免疫経路(IMD経路)誘導を介した、マラリア原虫排除機構が存在することが明らかとなった。
|