2010 Fiscal Year Annual Research Report
グレリンの脊髄排便中枢を介する大腸運動促進作用の機序と大腸運動障害への関与
Project/Area Number |
22380157
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
志水 泰武 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40243802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏本 博史 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30153373)
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Keywords | グレリン / 大腸運動 / 排便 / 脊髄 / 消化管 / 骨盤神経 / デスアシルグレリン / グレリン受容体 |
Research Abstract |
本研究は、ストレスによって下痢や便秘といった消化管運動障害が発生する機序について、中枢と消化管との関わりに焦点を絞り解明しようとするものである。これまでに、グレリンが大腸の蠕動運動を強力に亢進させ、糞便の排泄を強く促すこと、グレリンの作用点が腰仙髄部の排便中枢であることを明らかにしたので、本研究では、脊髄におけるグレリン作働性神経回路の成り立ちを明らかにすること、排便中枢から大腸へ至る神経連絡路を解明することを目的とする。さらに、脊髄のグレリン作働性制御系が、正常な排便反射にどのように寄与するか、あるいはグレリン作働性制御系の乱れが、ストレスに伴う下痢や便秘と関連性するかについて、追究することも目的となる。本年度は、グレリンが脊髄排便中枢に作用して、極めて強力な大腸運動の促進作用を発揮するメカニズムを解明するために、脊髄内のグレリン作働性機構の詳細を検討した。in vivoにおける大腸の運動性評価実験(大腸内腔圧の変化と内腔液の推送量の記録)を行い、グレリンが強い大腸運動を誘発するものの、脂肪酸修飾のないデスアシルグレリンにはその作用がないことを明らかにした。この実験により、グレリンの脂肪酸修飾が必須であることが明確になった。単独では効果を発揮しないデスアシルグレリンが、グレリンと共存するとその作用を抑制することも明らかとなった。RT-PCR法によって脊髄排便中枢にグレリン受容体が発現することも確かめられた。人為的に作出した術後大腸運動障害モデルにおいても、グレリンの強力な排便作用が発揮されることが確認できたので、本研究で新しく解明された仕組みは、将来的に臨床応用できるものと期待される。
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Research Products
(21 results)