2012 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルスが引き起こす多様な神経障害の分子基盤
Project/Area Number |
22380162
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落合 謙爾 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (80214162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 和彦 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (90250498)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | トリ白血病ウイルス / レトロウイルス / グリオーマ / 中枢神経系腫瘍 / 分子クローン / 発癌機構 |
Research Abstract |
研究代表者は「トリのグリオーマ so-called fowl glioma」が A型トリ白血病ウイルス (ALV-A) 感染症であることを明らかにした。本課題の目的は代表者が分離した神経病原性 ALV の解析を通してレトロウイルス誘発性神経障害の分子基盤を解明することである。今年度得られた成績は以下の通りである。1.作製した FGV の感染性分子クローンおよび FGV の gag-pol をトリ白血病ウイルスベクター RCAS(A) のそれと入れ換えたキメラウイルスの神経系に対する病原性を感染実験により解析した。その結果,分子クローンおよびキメラウイルスは鶏に対しグリア結節および囲管性リンパ球浸潤といった非化膿性脳炎を引き起こすが,観察期間内にはグリオーマが誘発されないことがわかった。これは脳内で複製するウイルス量が低いためと推察された。2. 新たに FGV の env/3’LTR および ΔLTR をトリ白血病ウイルスベクター RCAS(A) のそれらと入れ換えたキメラウイルスを作製した。3.FGV 特異配列を欠き,内在性レトロウイルス ev-1 由来と考えられる ALV, Km_5666 株の中枢神経系に対する病原性を感染実験により解析した。感染実験鶏の脳には囲管性リンパ球浸潤,脳室周囲の未分化円形細胞の増殖,グリオーシス,およびグリオーマが誘発された。これら病変の程度は既報の Sp 株に比べて弱く,脳内ウイルス RNA 発現量は検索したいずれの日齢でも Sp-40 株のそれらと比較して低かった。4. 以上の成績から,FGV 特異配列はグリオーマ誘発能とは関連しないことが示唆された。また,グリオーマの形成には ALV 感染初期の脳内ウイルス量が関与することが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は神経病原性 ALV の解析を通してレトロウイルス誘発性神経障害の分子基盤を解明することである。感染性分子クローンおよびキメラウイルスの感染実験を現在遂行中である。また,FGV特異配列を欠き,ev-1 に由来すると推察される ALV も神経病原性を持っていたことから,FGV 特異配列はグリオーマ誘発能とは関連しないことがわかった。以上の成績から,順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は感染性分子クローンおよび FGV と RCAS(A) ベクターとのキメラ個体の解析が進展していることから,本項目を重点的に推し進める。また,グリオーマの形成には感染初期からの脳内ウイルス量が大きく影響していると推察されることから,この点を分離株とキメラウイルスを用いて検証する予定である。 上記計画のため,本課題では研究費を主に実験に要する試薬の購入などに充てる。
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Research Products
(5 results)