2010 Fiscal Year Annual Research Report
巨大核出現メカニズムを起点としたin vivo短期発がん指標分子の探索研究
Project/Area Number |
22380163
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渋谷 淳 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (20311392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三森 国敏 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10239296)
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Keywords | 発がん性評価 / 短期発がんスクリーニング / 巨大核 / 細胞周期 / 細胞増殖活性 / アポトーシス |
Research Abstract |
化学物質の既存の発がん性評価手法に代わる短期発がんスクリーニング系の確立を目指し、ラット腎発がんをモデルとして取り上げ、その発がん初期過程を与える可能性の高い巨大核に着目した腎発がん物質の28日間投与実験を行い、巨大核誘発メカニズムに関連する指標スクリーニングを行った。指標分子検索には、巨大核出現に細胞周期異常を介した発がん機序が推定されていることより、腎発がん物質の代表的な発がん標的尿細管部位である髄質外帯でのマイクロアレイ法による網羅的遺伝子解析を行い、細胞周期関連で発現上昇した遺伝子を選出した結果、G2/M期チェックポイントに機能するp53経路、細胞増殖、アポトーシス関連の遺伝子が見出された。また、遺伝子解析と並行して、細胞周期関連分子及び増殖指標のKi-67の免疫組織学的検索を行った結果、Ki-67陽性細胞が巨大核に誘発性に関わらず腎発がん物質群で無処置対照群に比して有意に増加した。細胞周期では、M期のAurora Bが発がんの有無に関わらず巨大核誘発物質群で有意に増加し、S期後期からG2/M期に機能するTop2aでは多くの発がん物質でKi-67と同様の反応性を示した。また、TUNEL染色によるアポトーシスの検討で、Ki-67と同様に腎発がん物質群で無処置対照群に比して有意にアポトーシスが増加した。以上より、腎発がん物質投与により、巨大核誘発性の有無に関わらず、髄質外帯尿細管領域に細胞周期の加速による細胞増殖活性の亢進と同時に、おそらくS期後期での周期異常を示してアポトーシス誘導を起こすことが明らかとなった。即ち、細胞増殖活性、アポトーシス、Top2aの陽性細胞の検索が腎臓の短期発がん検出指標となり得る可能性を示唆した。
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