2010 Fiscal Year Annual Research Report
牛ウイルス性下痢ウイルスの牛群汚染様式に関する疫学的・免疫学的解明
Project/Area Number |
22380169
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田島 誉士 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (90202168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門平 睦代 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20313976)
今内 覚 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (40396304)
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Keywords | 牛ウイルス性下痢ウイルス / BVDV / 防疫対策 / 持続感染 / 胎子感染 |
Research Abstract |
本研究課題における研究目的は、以下のとおりである。(1)牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)が牛群に侵入して持続感染(PI)牛が発生するのを阻止するため、牛群への侵入経路を疫学的に解析して、防疫対策に役立てる(2)PI発生機序を解明するために、BVDVの牛体内での免疫回避機序を遺伝子レベルで解明し、宿主側要因を検討して感染防止に利用する(3)BVDV急性感染時の個体レベルでの免疫応答能に及ぼす影響を分析し、生産獣医療における群レベルでの感染症対策に応用する。 本年度はまず、北海道内の酪農専業地域(オホーツク、釧路、根室)、乳肉農家混在地域(石狩、胆振、十勝)の酪農家を対象として、BVDV浸潤状況をバルク乳検査によって調査し、汚染牛群と清浄牛群の選別を実施した。バルク乳検査で陽性となった農家を対象に、子牛、育成牛、未経産牛などの非泌乳牛を含む全頭検査を、血清を用いたRT-PCR法によって実施した。ワクチン接種状況、飼養牛導入の有無、公共牧野使用歴および放牧時期、飼養形態および規模、飼料自給率、などの情報を畜主、農家担当獣医師、あるいは農協から得て、ウイルス侵入門戸の推定を試みるとともに、摘発農家の地理的位置関係を解析した。発生農家の立地に統計学的に因果関係が認められたが、分離ウイルスの遺伝子の比較では有意な関係が認められなかった。また、すべての地域に共通する危険因子として、導入牛が抽出された。 摘発されたPI牛体内におけるBVDVの分布状況、特に卵胞液および卵巣におけるウイルス量とサイトカイン発現量の解析によって、PI発生機序に関連が深いと考えられる因子の抽出を試みるべく、材料を蓄積中である。また、妊娠牛の急性感染時におけるサイトカインプロファイルから、PI発生機序の解明が可能であるか否かの検討を始めた。
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Research Products
(4 results)