2012 Fiscal Year Annual Research Report
牛ウイルス性下痢ウイルスの牛群汚染様式に関する疫学的・免疫学的解明
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22380169
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
田島 誉士 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (90202168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門平 睦代 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (20313976)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 牛ウイルス性下痢ウイルス / BVDV / 持続感染 / 胎子感染 / サイトカインプロファイル |
Research Abstract |
本研究課題における研究目的は、以下のとおりである。(1)牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)が牛群に侵入して持続感染(PI)牛が発生するのを阻止するため、牛群への侵入経路を疫学的に解析して、防疫対策に役立てる (2) PI発生機序を解明するために、BVDVの牛体内での免疫回避機序を遺伝子レベルで解明し、宿主側要因を検討して感染防止に利用する (3)BVDV急性感染時の個体レベルでの免疫応答能に及ぼす影響を分析し、生産獣医療における群レベルでの感染症対策に応用する。 前年度から引き続き、感染拡大阻止のための牛群へのPI侵入経路特定を試みた。これまで実施してきている地域単位でのバルク乳検査を、1年ごとから6ヶ月ごとに短縮したところ、より効率的な清浄化対策となることが示されたが、地域によって汚染状況がさまざまであり、侵入経路の特定は可能であったが、特異的な侵入経路の確定には至っていない。これは、清浄化達成後の監視によって可能になるのではないかと考えられ、今後も継続していく予定である。 次に、上記の対策において摘発されたPI牛およびこれまでに保存されていたPI牛材料を用いて、牛生殖器内でのウイルスの動向、特に卵胞液におけるウイルス量の定量とその感染性について検討した。PI牛体内では、血清や末梢血白血球中のウイルス量よりも卵胞液中のウイルス量が多いことが判明した。さらに、PI牛が摘発された牛群の免疫状態を評価するため、同居牛についてサイトカインプロファイルを分析した。本分析においては、さまざまな感染性因子の影響を受けることが予想され、宿主-特異的病原因子の直接的な関連性を明確にすることは困難であったが、PI牛発生機序に関与する因子に焦点を絞り解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科学的測定データの明示に基づく研究目標に到達しつつあるが、まだ完全には到達目標に達していないと考えられるから。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、乳肉生産現場(生産者、役場、農協)とその生産動物の健康管理に携わる臨床獣医師との連携を保ちつつ計画されている。研究者としての追究心のみから研究を進めていくことは、双方にとって有益ではないとの予想が立てられる。したがって、前年度に引き続き協調関係を保ちつつ世界レベルの研究を遂行すべく努力しているところである。
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Research Products
(6 results)