2011 Fiscal Year Annual Research Report
動物の関節疾患に伴う関節構造破壊に対するグリコサミノグリカンの構造安定効果
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22380170
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥村 正裕 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (80260397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 哲 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (50396305)
細谷 謙次 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (50566156)
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Keywords | 関節疾患 / グリコサミノグリカン / 軟骨細胞 / 滑膜細胞 |
Research Abstract |
(1)グリコサミノグリカンの培養軟骨細胞の細胞生物学的活性に対する効果:軟骨細胞に対する多硫酸ペントサンナトリウムの効果を検討するために、その細胞活性に対する影響をMTT法を用いて検討した。また、細胞の形態学的変化も同時に観察した。その結果、軟骨細胞代謝の亢進と同時に炎症性サイトカインによって誘導される軟骨細胞障害性を保護することが確認された。 (2)グリコサミノグリカンの軟骨細胞の分子生物学的活性に対する効果:前年度の研究において馬および犬に関する遺伝子情報から、JNK、ERK、p38、およびMMP-3とそれに関連したそれぞれのセンスおよびアンチセンスプライマーをヒトおよびマウスJNKのcDNA塩基配列の相同性の高い部分を参考に設計し、RT-PCRを最適化した。その後、定量的な評価を可能とするrealtime-PCRについてもそれぞれの条件を最適化した。また、細胞内における生理活性を評価するためにNK-kBの核内以降形態を分析するため、蛍光抗体法における分析を可能にした。さらに、細胞活性が活性化した結果、細胞内で生成される酵素および生理活性物質の発現を評価するために、PSGAGやPPSに干渉されないPCR法の最適化を行った。これらの検索システムを使用して、培養軟骨細胞に炎症性サイトカインであるIL-1βおよびTNF-αを作用させて炎症反応を惹起させ、培養軟骨細胞における古典的MAP-Kの介した細胞反応の活性化およびその結果として産生される産物であるMMP-3およびADAMTS-4および5の産生を評価した。分析された細胞反応が安定的に再現される環境を最適化した後、細胞の炎症応答に関連したグリコサミノグリカンの反応性を分析した。その結果、グリコサミノグリカンの一つであるポリ硫酸ペントサンは、p38およびJNKに干渉してNF-κBの核内移行を抑制し、その後の細胞の炎症応答を低下させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、研究が進み、また、同時に比較的理にかなった結果が出ている。成果の公表についても順調に進み、国際学会での公表や国際雑誌での公表なども予定通り実施されている。今後は、得られた成果をより確実なエビデンスとすることが必要とされ、その意味でも計画されている細胞由来動物の違いによる結果の変動や細胞ソースの条件の違いが結果に与える影響等を詳細に検討し、より確実なエビデンスを用いて、目的とする事象を説明できるようにする努力が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で検討しているグリコサミノグリカンは、身体の構造物質であるプロテオグリカンと類似構造を有している。これら物質の補填が、損傷により破壊された身体構造の修復材料になると信じられ、いろんな経路を通じて身体に投与されてきた。身体構造の一部に類似しているこれら物質に対する細胞レベルでの生体の反応は、仮説として想定していたよりも大きな反応として確認された。この反応メカニズムについて、分子生物学的に検討しているが、より身体的な事象、具体的には免疫系等全身反応系に与える影響を考慮した反応メカニズムの解明が必要であると痛感している。本研究で明らかにできることと、さらに次の研究計画に向けた施策として、よりin vivoに近い検討の必要がある。
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Research Products
(7 results)