2010 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージと筋線維芽細胞を基軸とした慢性腎臓病の進展機序の解明と治療戦術
Project/Area Number |
22380173
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山手 丈至 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50150115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑村 充 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20244668)
竹中 重雄 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10280067)
秋吉 秀保 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (50420740)
井澤 武史 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (20580369)
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Keywords | 慢性腎臓病 / マクロファージ / 筋線維芽細胞 / 抗原提示能 / 肝線維化 / 創傷治癒線維化 / HSP25 / Galactin-3 |
Research Abstract |
慢性腎臓病は、ヒトでは心筋梗塞や動脈硬化症の素因として、犬・猫においては高発する加齢性疾患として注目されている。この慢性腎臓病は、進行性の線維化腎の病態で、傷害部位に出現するマクロファージと、マクロファージから産生される線維原性因子により誘導される筋線維芽細胞が、その病理発生において中心的な役割を演じる。しかし、これら細胞の形態学的・機能学的な特性の全貌は解明されていない。今年度は、シスプラチン誘発腎線維化ラットモデルを用いて以下の点を明らかにした。 1.傷害尿細管の特性:傷害された尿細管には、PGE_2のレセプターが高発現すること、そしてその発現にはCOXIが関わることを示した。さらに、PGE_2は傷害による尿細管上皮のアポトーシスを抑制することがin vitroの実験で証明された。すなわち、PGE_2レセプターの発現が傷害後の尿細管の正常な再生を促進していることを初めて明らかにした。 2.出現マクロファージの特性:従来の研究では、このモデルにおいて貧食活性の高いマクロファージが出現することを示したが、このようなマクロファージ以外にも抗原提示能のあるマクロファージが出現することが分かった。この抗原提示マクロファージは、病変の進行に伴い増加し、それに並行してリンパ球が出現することが示された(リンパ球の特性については検討中)。この成果は、慢性腎臓病の進展には、抗原提示マクロファージを介した免疫機能が働くことで、より複雑な腎病変が形成される可能性が考えられた。この点は現在更に追究している。 3.肝と創傷治癒モデルでの線維化の解析:チオアセトアミド誘発ラット肝細胞傷害後の線維化と皮膚の創傷治癒線維化モデルについても、慢性腎臓病との比較で解析した。肝細胞傷害部位ではマクロファージの反応部位周囲の肝細胞でヒートショックプロテイン25(HSP25)が特異的に発現し、マクロファージの機能に対し抑制的に働いていることが示唆された。また皮膚の線維化ではマクロファージから発現するGalactin-3が線維化に係わっていることが示された。
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Research Products
(4 results)